ドイツ系アメリカ人協会

ドイツ系アメリカ人協会の概要

ドイツ系アメリカ人協会（German-American Bund）は、1936年4月にアメリカ国内のドイツ系移民によって設立された右翼団体である。この団体の発起人には、フォード社の技術者フリッツ・クーンが名を連ねており、彼はその設立に深く関与した。単なる文化団体としての表向きの姿勢を持っていたものの、実際にはナチス政権に親和的であり、反ユダヤ的な考え方を押し広める活動を行っていた。特に、ニュージャージー州とニューヨーク州に存在するドイツ系コミュニティーを基盤に活動を展開していたことが特徴的である。

組織の成り立ち

この団体は、「新生ドイツの友」という団体の後身である。「新生ドイツの友」は、ドイツ外務省の指示によって解散させられたが、その後、ドイツ系アメリカ人協会はナチス・ドイツ政府との密接な関係を築くことになった。設立当初からゲルマン民族の優越性を強調し、アメリカにおけるナチズムの影響力を強化する活動に邁進していた。

政府との関係

設立当初、アメリカ政府はこの団体の活動について不介入の姿勢を取っていたが、徐々にその方針は変わり始める。特に1941年以降、アメリカ合衆国が第二次世界大戦に参戦することとなると、クーンをはじめとする指導部が逮捕され、団体の活動は壊滅状態に陥った。フリッツ・クーンは1945年に釈放された後、ドイツに強制送還されることになった。

敵対関係

この団体は、アメリカ共産党や多くのアシュケナジム系ユダヤ人団体、さらにはニューディーラーと呼ばれる政治派閥に対してしばしば敵対的な立場をとっていた。こうした敵対関係は、彼らが持つナショナリズムや人種差別的な思想から来るものであり、アメリカ社会における深刻な分断を生む要因となっていた。

結論

ドイツ系アメリカ人協会は、アメリカにおけるナチズムの象徴的存在であり、文化的な背景を持ちながらもその活動は極端な思想と結びついていた。彼らの動きは戦前・戦中のアメリカにおいて重要な歴史的な事例となっている。アメリカ社会がいかにしてこのような極端な思想の影響を受けたのか、またそれに対抗するためにどのように活動したのかを考える際に、この団体は避けて通れない存在である。

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