ドイツ鉄道407形電車

ドイツ鉄道407形電車(DBAG-Baureihe 407)について

ドイツ鉄道407形電車は、高速列車ICEの最新世代として、2009年から2012年にかけて製造されました。製造メーカーであるシーメンスでは「ヴェラロD」という名称で呼ばれています。これは、シーメンスの高速列車ブランドであるヴェラロが、スペイン、中国、ロシアに続いて4番目に採用されたことを意味します。

運行計画と遅延

4電源に対応したこの車両は、ドイツ本国に加え、フランスやベルギーといった周辺国での運行を想定して設計されました。当初は2011年12月のダイヤ改正からの営業運転開始を目指していましたが、納車の遅延やソフトウェアの不具合が相次ぎ、計画は大幅に遅延。最終的には2014年4月12日にようやく営業運転を開始しました。

製造契約と公開

2008年11月、ドイツ鉄道はシーメンスと8両編成15本以上の製造契約を締結しました。契約総額は約4億9500万ユーロ。製造はクレーフェルト・ウルディンゲン工場で2009年秋に開始されました。2010年のイノトランス（国際鉄道技術見本市）では、先頭車1両と中間車2両の実車が初めて一般公開され、注目を集めました。当初の計画では、最初の編成が2011年10月に納入され、2012年半ばには全15編成が出そろう予定でした。

投入線区と将来の展望

407形は、ドイツ国内の主要路線に加え、フランスの高速新線ラインローヌ線やベルギーへの国際路線に投入されています。フランクフルトとマルセイユ間の所要時間は約6時間半。将来的には、英仏海峡トンネルを経由してロンドンまで運行されることも期待されています。トンネル内の火災対策として、特殊な防火扉が装備されており、2編成を連結した16両編成であれば、トンネル内の最短列車長規定（375m）と防火基準を満たせるとメーカーは見込んでいます。メーカーの試算によると、この電車はガソリン換算で乗客1人あたり100km走行するのに0.33リットルを消費するとされています。

車両の仕様

1編成は以下の8両で構成されています。

1号車（先頭電動車）：1等車42席
2号車（付随車、主変圧器搭載）：1等車51席
3号車（電動車、主変換器搭載）：1等車18席、食堂車16席
4号車（付随車）：2等車45席、障害者用WC、車掌室、係員の休憩室
5号車（付随車）：2等車76席
6号車（電動車、主変換器搭載）：2等車76席
7号車（付随車、主変圧器搭載）：2等車72席
8号車（先頭電動車）：2等車64席

先代のヴェラロと比較して、407形では先頭車を除く車両の屋根が40cm高くなっています。これは、空調機器やブレーキ抵抗器、集電装置カバーを屋根に内蔵し、トンネル微気圧波を緩和するためです。また、運転席後部はラウンジではなく、信号保安装置の機器室となっています。

1編成あたり11箇所のトイレ（うち1つは係員用）が設置されています。各車両には車椅子スペースが2箇所用意され、号車番号と座席番号は点字でも表示されています。対乗客用情報モニターが天井に設置され、2等車のシートピッチは915mm、1等車は1010mmです。食堂車は立席飲食スペースが廃止され、半室食堂車として1等座席との合造車となりました。

交流架線下での最高速度は320km/h、直流区間では220km/hを想定。台車の監視・診断システムが導入され、3灯式前照灯にはLEDが採用されています。主電動機は強制空冷誘導電動機で、水冷IGBTインバータによって制御されます。

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