ドゥフタハ

ドゥフタハ・ダイルテンガ：毒舌の戦士

ドゥフタハ・ダイルテンガ（Dubthach Dóeltenga）は、アイルランドのアルスター伝説に登場する戦士であり、その名は「カナブンの舌」を意味します。この異名は、彼の毒舌ぶりを表しており、物語の中で彼はしばしば辛辣な言葉を武器にしています。

物語の中のドゥフタハ

流浪の身

ドゥフタハは、ウシュリウの子らの安全を保障する役割を担っていましたが、コンホヴァル王の裏切りに憤慨し、コルマク・コン・ロンガスと同様に、コノートへと亡命し、流浪の身となります。この行動は、彼の正義感と強い意志を示しています。

クアルンゲの牛捕り

『クアルンゲの牛捕り』では、ドゥフタハは同胞であるアルスターの人々と戦うことになります。しかし、彼の振る舞いは、穏健なフェルグスとは対照的でした。フェルグスがクーフーリンとの戦いを避けようとする一方で、ドゥフタハはクーフーリンを不意打ちにすることを提案し、フェルグスの反発を買います。フェルグスはドゥフタハを激しく非難し、彼を軍の後衛へと追いやります。この場面では、ドゥフタハがルガイ・マク・カスルバの子であるという情報も明かされています。

鳥峠の誤投

「鳥峠の誤投」と呼ばれる事件では、ドゥフタハは母方の従兄弟であり親友であるドーハと、敵味方に分かれて対峙します。ドーハが誤ってドゥフタハを槍で串刺しにしてしまうという悲劇が起こりますが、幸いにも致命傷には至りませんでした。この事件は、戦場における不確実性と、友情の複雑さを描いています。

ドゥフタハの所有物

ドゥフタハは、ケルトハルのルーンと呼ばれる魔槍を借り受けていたことで知られています。この槍は、普段は禍々しい液体が入った大釜に浸しておかないと発火するという、扱いの難しいものでした。

また、『コンホヴァルの話』によれば、ウアタハ（ウアハフ）という恐ろしい意味を持つ盾、あるいは剣を所有していたとされています。

大衆文化への影響

ドゥフタハの槍は、複数のゲーム作品に登場する「ズフタフの槍」のモデルとなっています。彼の名前と武器は、現代の大衆文化にも影響を与え続けています。

ドゥフタハ・ダイルテンガは、アイルランドの伝説における複雑なキャラクターです。毒舌家でありながら、正義感と友情に厚い一面も持ち合わせています。彼の物語は、戦い、裏切り、そして人間関係の機微を描き出し、今日でも私たちに語り継がれています。

参考文献

『ダ・デルガの館の崩壊』
Mackillop, James, Dictionary of Celtic Mytholgy (1998)
Maier, Bernhard, Dictionary of Celtic Religion and Culture (Boydell 1997)
Mountain, Harry, The Celtic Encyclopedia III

一次資料

『ダ・デルガの館の崩壊』
『ウラドの武者たちの酩酊』
『クアルンゲの牛捕り』

二次資料

幻想武器博物館[1]

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