ドゥブラヴカ・ウグレシィチ

ドゥブラヴカ・ウグレシィチ（Dubravka Ugrešić, 1949年3月27日 - 2023年3月17日）は、旧ユーゴスラビア、現在のクロアチア出身の作家であり、晩年はオランダのアムステルダムに在住していました。

生涯と活動

ウグレシィチは、クロアチア社会主義共和国のクティナで生まれました。母親はブルガリア出身で、後にユーゴスラビアへ移住しています。ザグレブ大学で学んだ後、作家としてのキャリアをスタートさせました。

彼女の作品は、ユーゴスラビア紛争という歴史的背景と深く結びついています。特に、1996年に発表された『The Culture of Lies』、翌1997年に邦訳された『バルカン・ブルース』は、紛争当事国であるセルビアやクロアチアなどの政府やメディアによる、民族主義的な情報操作を鋭く批判した作品として知られています。

2023年3月17日、ウグレシィチはアムステルダムにて逝去しました。

受賞歴

ウグレシィチは、その文学的功績により数々の賞を受賞しています。

オーストリア国家賞 (1999年)
ハインリヒ・マン賞 (2000年)
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞 (2010年, 『Baba Yaga Laid an Egg』に対して)
ノイシュタット国際文学賞 (2016年)
ヴィレニツァ国際文学賞 (2016年)

作品

ウグレシィチの作品は、小説、エッセイなど多岐にわたります。彼女の作品は、政治、文化、アイデンティティといったテーマを扱い、独特の視点と文体で読者を魅了します。

邦訳作品

『バルカン・ブルース』（岩崎稔 訳、未來社、1997年）ISBN 4-624-61033-4
『きつね』（奥彩子 訳、白水社、2023年）ISBN 978-4-560-09370-2

主な作品（原題）

The Age of Skin (2019)
Fox (2017)
Europe in Sepia (2014)
Karaoke Culture (2011)
Baba Yaga Laid an Egg (2009)
Nobody’s Home (2007)
The Ministry of Pain (2005)
Lend Me Your Character (2004)
Thank You For Not Reading (2003)
The Museum of Unconditional Surrender (1998)
The Culture of Lies (1996)
Have A Nice Day: From the Balkan War to the American Dream (1994)
In the Jaws of Life (1992)
* Fording the Stream of Consciousness (1991)

ウグレシィチの作品は、現代社会におけるアイデンティティの喪失や、文化の変容といった問題に深く切り込んでおり、多くの読者に影響を与え続けています。

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