ドゥンケルフラウテ

ドゥンケルフラウテとは？

ドゥンケルフラウテ（Dunkelflaute）は、ドイツ語で「暗い凪」を意味し、気象学では「高気圧性グルーム」とも呼ばれます。再生可能エネルギー、特に風力発電と太陽光発電において、発電量が極端に低下する期間を指す専門用語です。

気象条件

典型的な高気圧とは異なり、ドゥンケルフラウテは晴天とは限りません。実際には、層雲や層積雲、霧といった厚い雲（雲量0.7〜0.9）が空を覆う状況で発生します。低空の層積雲は太陽光を遮り、日射量を大幅に減少させます。

ドゥンケルフラウテの明確な定義はまだ確立されていませんが、一般的には、風力発電と太陽光発電の両方の設備利用率が20%を下回る状態が一定時間続く場合を指します。

ヨーロッパ北部では、停滞した高気圧が弱風と曇天をもたらし、ドゥンケルフラウテが発生します。頻度としては、1年に2〜10回程度発生し、主に10月から2月にかけて見られます。期間は通常、1回の現象につき最大24時間、年間合計で50〜150時間程度です。

再生可能エネルギーへの影響

再生可能エネルギーへの依存度が高まるにつれて、ドゥンケルフラウテはエネルギーインフラにとって深刻な問題となります。広範囲にわたって同時多発的に発生する可能性があり、電力供給の安定性を脅かします。

ただし、地理的に離れた地域間では相関性が低い場合もあるため、複数国間での送電網の連携は対策として有効です。また、ドゥンケルフラウテの期間中も電力を安定供給するためには、十分な容量を持つ代替エネルギー源の確保や、エネルギーの輸入、電力需要の調整などが不可欠です。

代替エネルギー源

ドゥンケルフラウテへの対策として、各国は以下のような代替エネルギー源を利用しています。

化石燃料（石炭、石油、天然ガス）
水力発電
原子力発電
エネルギー貯蔵システム

これらのエネルギー源を組み合わせることで、ドゥンケルフラウテ発生時にも電力の安定供給を維持することが可能になります。

まとめ

ドゥンケルフラウテは、再生可能エネルギーの普及における課題の一つです。気象条件の把握、広域送電網の整備、代替エネルギー源の確保などを通じて、その影響を最小限に抑える必要があります。

参考資料

Li, Bowen; Basu, Sukanta; Watson, Simon J.; Russchenberg, Herman W. J. (11 October 2021). “A Brief Climatology of Dunkelflaute Events over and Surrounding the North and Baltic Sea Areas”. Energies 14 (20): 6508.
Ohlendorf, Nils; Schill, Wolf-Peter (1 August 2020). “Frequency and duration of low-wind-power events in Germany”. Environmental Research Letters 15 (8).

関連項目

ダックカーブ
変動性再生可能エネルギー

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