ドゥーワップ

ドゥーワップについて

概要

ドゥーワップは、1950年代のアメリカ合衆国における合唱スタイルの音楽です。このスタイルは、主にアフリカ系アメリカ人の音楽グループによって生まれ、リズム・アンド・ブルースを基盤としています。ドゥーワップという名前は、特徴的な歌唱スタイルに由来しており、その音は「ドゥー・ドゥー・ワッ」といったフレーズで、メロディー以外の部分をスキャットで表現します。このスタイルは、黒人音楽のハーモニーを取り入れており、ティン・パン・アレーの音楽形式とも結びついています。

ドゥーワップグループは通常4人か5人の構成で、主旋律を担当するリード・ボーカル、ハーモニーの中高音を担当するテナー、中低音のバリトン、低音を担当するベースのパートに分かれます。テナーやバリトンは、和音を際立たせるだけでなく、曲にリズムを加えるための対旋律やかけ声を使い、聴衆を引き込む役割も果たします。ドゥーワップはア・カペラスタイルにすることもありますが、多くの場合、簡素な楽器の伴奏が付くのが特徴です。

歴史

ドゥーワップの起源は、アフリカ系アメリカ人奴隷の労働歌や黒人教会で歌われるゴスペルにまで遡れます。1930年代には商業音楽として、黒人歌手やバンドが中心となり、ミルス・ブラザーズやインク・スポッツなどが初期の代表グループとして知られています。当時の楽曲は、メロディが聴かせる甘くて穏やかなものが多く、ドゥーワップのスタイルが確立されていく過程が見られます。

戦後、ドゥーワップの音楽は都市の黒人の若者たちの間で広まりました。このスタイルは、楽器を必要としないため、経済的に負担が少なく、ストリートカルチャーの一部として多くの人々に愛されるようになりました。1950年代半ばには、ドゥーワップブームが訪れ、職業作家によるシンプルで親しみやすいラブソングが増えていきます。レトロなリズムを強調した曲や、コミカルな要素が加わった楽曲も登場しました。

ドゥーワップのアーティストたちは主に黒人グループでしたが、一部には白人グループや混合グループも存在しました。商業的成功を収めることができたグループもいくつかあり、例としてはプラターズやドリフターズが挙げられます。これらのグループは、ポップな要素を取り入れて大衆に受け入れられました。しかし、ファイブ・サテンズやザ・ムーングロウズなどは、より伝統的なドゥーワップのスタイルを保持していました。

このようなドゥーワップブームは1964年頃に衰退しますが、ドゥーワップは1960年代のモータウンに代表されるソウルミュージックへと受け継がれていきました。さらに、ドゥーワップの影響はその後のソウルやR&Bだけでなく、ロックやポップスにも強く残ります。ビーチ・ボーイズの初期の楽曲には、ドゥーワップの要素が豊富に含まれており、日本のムード歌謡にもその影響が見られることがあります。

主なグループ

• - ザ・ムーングロウズ
• - ファイブ・サテンズ
• - スパニエルズ
• - ペンギンズ
• - ハープ・トーンズ
• - ジャイブ・ファイブ
• - ハート・ビーツ
• - シェップ&ライムライツ
• - ホワイト・ドゥーワップ
• - クレスツ
• - スカイ・ライナーズ
• - デュプリーズ
• - ダイヤモンズ

日本におけるドゥーワップの代表グループには、ザ・キング・トーンズやシャネルズ／ラッツ&スターがあり、彼らはこのスタイルの普及に貢献しました。ドゥーワップは、その特異なスタイルと歴史をもって、今もなお多くの音楽ジャンルに影響を与え続けています。

もう一度検索