ドウダンツツジ

ドウダンツツジ（灯台躑躅・満天星躑躅）

ドウダンツツジ（学名: Enkianthus perulatus）は、ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木です。日本原産で、庭木や公園樹として広く利用されています。和名の由来は、枝分かれした様子が昔の灯台の脚部に似ていることから「トウダイ」が転じたとされています。また、「満天星」という表記は中国語名に由来し、その美しい姿を表しています。

分布

本州（関東地方・伊豆半島以西）、四国、九州の低地に分布しています。温暖な岩山に自生しますが、野生の個体は少なく稀です。蛇紋岩などの超塩基性岩質の場所に多く見られます。庭や公園の植え込みとしては一般的で、寒冷地でも生育可能ですが、関東以西の温暖な地域でよく見られます。

特徴

落葉広[[葉樹]]で、低木であり、大きくても3m程度です。株立ちで枝を出し、若木の樹皮は灰褐色ですが、成木になると不規則にはがれてまだら模様になります。葉は菱形に近い卵形で、先がやや尖り、大きさは通常2cm程度、大きいものでは約5cmです。葉身には少し毛があり、枝先に5～7枚程度集まってつきます。ツツジ科の特徴として根が浅く、乾燥に弱い性質があります。新緑、花期、紅[[葉]]と四季折々の美しい姿が楽しめます。

花期は、葉が出た約1週間後（4月上旬から5月中旬頃）で、地域によって異なります。散形花序で、枝先から数本の花が下向きに咲きます。花は白色の釣鐘形で、大きさは約5mmです。紅[[葉]]は、寒冷地では10月中旬から11月上旬頃、温暖地では11月中旬から12月中旬頃に見頃を迎えます。特に鮮やかな赤色に紅[[葉]]し、日当たりの悪い場所では橙色から黄色へのグラデーションが見られます。

冬芽は黄褐色から赤褐色で、長枝と短枝の先につく頂芽は卵形です。頂芽の最も外側の芽鱗は、頂芽の長さの半分以下になるのが特徴です。葉痕は三角形で、稜が下に伸びています。

利用

剪定に強く、樹形を自由に調整できるため、古くから生垣として利用されてきました。庭園や公園、街路樹などにも植えられ、身近な植物として親しまれています。樹高が低く場所を取らないため、近年でも庭木として人気が高く、園芸店などでも容易に苗を入手できます。

迷信

古くから有毒であるという迷信がありましたが、実際の中毒事例は報告されておらず、分子科学的な解析でも有毒物質は確認されていません。現在では無毒であると結論付けられています。ただし、ツツジ科の植物には有毒なものも存在するため注意が必要です。

近縁種

近縁種には、サラサドウダン、カイナンサラサドウダン、ベニドウダン、アブラツツジなどがあります。これらは総状花序であることや、花にピンクのラインがあることでドウダンツツジと区別できます。

花の色が赤いものにベニサラサドウダン、白いものにシロドウダンなどがあります。

文化

1991年に発見された小惑星6786には、ドウダンツツジの名が与えられています。この小惑星の漢字表記には「満天星」が採用されています。

参考文献

鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年。
辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年。
林将之『紅[[葉]]ハンドブック』文一総合出版、2008年。

関連項目

満天星 (小惑星)

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