ドキセピン

ドキセピン（Doxepin）

ドキセピンは、三環式化合物に分類される医薬品で、主に大うつ病性障害や不安障害の治療に用いられています。また、慢性蕁麻疹や睡眠障害の改善にも効果が期待されています。適応症としては、うつ病や不安に加え、アトピー性皮膚炎や慢性苔癬に伴うかゆみを軽減するための外用クリームとしての利用もあります。

ドキセピンは、抗ヒスタミン薬の代わりに蕁麻疹の治療に使われることは推奨されていませんが、睡眠障害に対しては軽度から中程度の改善効果があるとされています。また、この薬は三環系抗うつ薬（TCA）に属し、うつ病に対しての作用メカニズムは完全には理解されていませんが、ノルアドレナリンの濃度を高めるとともに、ヒスタミン、アセチルコリンおよびセロトニンの働きを抑制することが知られています。

副作用とリスク

一般的な副作用としては、眠気、口渇、便秘、吐き気、かすみ目などが報告されています。これらの症状は、時に患者の日常生活に支障をきたすことがあります。特に眠気は、ドキセピンを服用中の患者が運転や機械の操作を行う際には注意が必要です。

深刻な副作用には、自殺願望、躁病状態、尿閉などが含まれ、特に25歳未満の若者において自殺リスクが高まることが指摘されています。また、急激な用量の減少は離脱症候群を引き起こす可能性があるため、服用を中止する際は段階的に行うことが推奨されています。そのため、医師と相談の上で適切な療法を選ぶことが大切です。

妊娠中や授乳中の女性への投与については一般的に推奨されないとされていますが、必要に応じて医療従事者の判断を受けることが重要です。

価格と入手方法

ドキセピンは1969年にアメリカ合衆国で医療用に承認されて以来、広く使用されています。現在では後発医薬品（ジェネリック）も入手可能です。2019年の英国の国民保健サービスのデータによると、1か月分のドキセピンの費用は少なくとも100ポンドに達することがあります。一方、米国では卸売価格が1か月分で約23米ドルとなっています。なお、日本ではまだ販売されていないため、入手が難しい状況です。

最後に

ドキセピンは、その治療効果や用途が多様である半面、副作用や注意点についても十分な理解が必要です。医師との相談を通じて、自身の症状に最適な治療を選択することが重要です。

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