ドス・ピラス

ドス・ピラスの概略

ドス・ピラス（Dos Pilas）は、グアテマラのペテン県ペテシュバトゥン地域にある古代マヤの遺跡で、「2つの泉」という名は、近代に付けられたものです。この遺跡は約0.7平方キロメートルの広さを有し、最盛期にはおおよそ1万人ほどの人々が住んでいたとされています。遺跡自体の規模は小さいものの、周辺地域の重要な都市であるティカルと同じ紋章を持ち、多くの碑文からも、ドス・ピラスがマヤの歴史において重要な役割を果たしていたことが明らかになっています。

歴史の背景

ドス・ピラスは、7世紀中頃に設立され、そこから続く戦乱の歴史が特徴的です。初代の王、バラフ・チャン・カウィールは、625年にティカルの王子として誕生しました。彼は21歳の時に内乱のためティカルを離れ、ドス・ピラスを建設しました。その後、当時の敵であった北のカラクムルのユクノーム・チェン大王が650年にドス・ピラスを征服し、657年にはティカルも制圧しました。この出来事により、ドス・ピラスはカラクムルの支配下に入ります。

674年、ティカル王ヌーン・ウホル・チャークはドス・ピラスを攻撃し、バラフ・チャン・カウィールは一時この地を追われますが、677年にはカラクムルがティカルを制圧したことで再度帰還しました。しかし、679年には再びティカルによる攻撃があり、今回も戦局が変わります。698年、2代目の王イツァムナーフ・カウィールが即位し、彼の統治下で28年間にわたりドス・ピラスは繁栄しました。この頃、戦いの矛先は近隣のペテシュバトゥンやパシオン川流域に向けられ、アグアテカやセイバルとの関係も築かれていきます。735年には、ドス・ピラスの3代目の王がセイバルを征服し、その影響力をさらに強めました。

しかし、761年には4代目の王カウィール・チャン・キニチの時代に、属国の反乱が起こり、ドス・ピラスは滅亡します。その後、761年に一度放棄されたこの地には不法居住者が住みついたものの、外敵によって最終的に滅んでしまいました。

遺跡の再発見

ドス・ピラスは1950年代に地元の人々によって最初に報告され、1960年にはロシア系フランス人の探検家ピエール・イヴァノフが調査を行いました。それ以降、1989年からはナショナルジオグラフィック協会やグアテマラ考古学歴史研究所の支援により、ヴァンダービルト大学のアーサー・デマレストらによる大規模な発掘が行われています。

考古学的な特徴

その建築物は遺跡になる以前から略奪に遭っているものの、数多くの石碑が現存しています。近くには高さ40メートルのピラミッドが所在し、長文の碑文が建物の階段に彫られています。2001年から2002年にかけては、新たな碑文の段階も発見され、多くの謎が解明されることが期待されています。

結論

ドス・ピラスは、マヤ文明の歴史と文化を理解する上で欠かせない場所です。発掘が進む中で、ますますその重要性が浮き彫りになってきています。将来的には、さらなる研究と発見が期待されており、マヤの遺産の研究は続いていくと考えられています。

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