ドミトリ・ヤブロンスキー

ドミトリ・アリベルトヴィチ・ヤブロンスキーは、1962年にモスクワで生まれた、ロシアを代表する指揮者、そしてチェリストです。

音楽一家に生まれたヤブロンスキーは、幼い頃から音楽に親しんで育ちました。母親はピアニストでジュリアード音楽院の教授を務めていたオクサナ・ヤブロンスカヤ、父親はモスクワ放送交響楽団の首席オーボエ奏者という、まさに音楽エリートの家系です。

6歳でモスクワ音楽院付属中央音楽学校に入学し、チェロを学び始めました。9歳という若さで、ハイドンのチェロ協奏曲第1番を演奏し、チェリストとしてデビューを果たしました。その才能は早くから開花し、将来を嘱望される存在となりました。

1977年、母親と共にアメリカへ移住し、ジュリアード音楽院でローン・ムンローに師事。その後、イェール大学に進学し、チェロをアルド・パリゾ、ザラ・ネルソヴァらに師事しました。同時に、指揮法にも興味を持ち、オットー＝ヴェルナー・ミュラーやユーリ・シモノフから指導を受けました。

1981年に大学を卒業すると、カーティス音楽学校に入学し、ザラ・ネルソヴァの下でさらにチェロの腕を磨きました。チェリストとしての活動は目覚ましく、ミラノ・スカラ座、アムステルダム・コンセルトヘボウ、ニューヨーク・リンカーン・センター、カーネギー・ホールといった、世界的に有名な劇場やコンサートホールで演奏を重ねました。

1990年には、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団を指揮し、指揮者としてのキャリアをスタートさせました。その後、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者、モスクワ交響楽団の首席客演指揮者などを歴任し、2002年からはロシア・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任しています。その指揮は、繊細かつダイナミックであり、聴衆を魅了しています。

ヤブロンスキーは、ナクソス・レーベルを中心に、数多くのレコーディングを行っています。ロシア・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した録音は、ショスタコーヴィチやチャイコフスキーといったロシア音楽だけでなく、日本人作曲家（安部幸明、伊福部昭、大澤壽人、早坂文雄、深井史郎など）の作品集も多数収録されており、彼の幅広い音楽性を示すものとなっています。また、チェリストとしても、ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタなどの録音を残しています。

使用しているチェロは、1726年製のフィリウス・アンドレア・グァルネリという銘器です。

ヤブロンスキーは、チェリスト、指揮者としての才能を併せ持ち、その活動は国際的に高く評価されています。彼の音楽に対する情熱と才能は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

もう一度検索