ドミトリー・ウトキン

ドミトリー・ヴァレリエヴィチ・ウトキン（1970年6月11日 - 2023年8月23日）は、ロシアの元軍人であり、傭兵として知られています。彼は、民間軍事会社ワグネル・グループの共同創設者であり、実質的な管理者として活動していました。ウトキンは、その身体にナチスの武装親衛隊の記章のタトゥーを入れていたことで知られ、ネオナチとの関連性が指摘されています。

生い立ちと軍歴

ウトキンは、ソビエト連邦時代にスヴェルドロフスク州アスベスト市で生まれました。地質学者の家庭に育ち、後に両親とともにウクライナのキロヴォフラード州に移り住みました。元妻の話によれば、ウトキンはそこで生まれたとされています。ウトキンは、ロシア空挺軍の第76親衛空挺師団に所属し、その後、ロシア連邦軍参謀本部情報総局（GRU）の特殊部隊の将校を務め、最終階級は中佐でした。

ワグネル・グループの創設

2013年までGRU傘下のスペツナズ部隊の指揮官を務めた後、予備役に転属しました。その後、香港に拠点を置いていたスラヴ軍団に所属し、シリア遠征に参加しました。2014年には、ワグネル・グループを創設し、司令官に就任しました。ワグネル・グループは、2014年から2015年にかけて、ドネツク・ルガンスク人民共和国支配地域で活動し、2015年秋からはシリアでの活動が確認されています。

謎に包まれた人物像

ウトキンは、その人物像が謎に包まれています。彼は公の場にほとんど姿を現さず、メディアの取材にも応じることがありませんでした。しかし、2016年12月9日には、クレムリンで行われたモスクワ祖国英雄の日の祝賀パーティーに出席し、ウラジーミル・プーチン大統領と写真撮影を行いました。この際、ペスコフ大統領報道官は、ウトキンが勇敢勲章の保持者として招待されたと説明しています。

死亡説

2023年8月23日、トヴェリ州で発生したエンブラエル・レガシー600の墜落事故で死亡したとみられています。この事故では、同じくワグネル・グループの創設者であるエフゲニー・プリゴジンも死亡したとされています。ウトキンの死は、ワグネル・グループの今後の活動に大きな影響を与えると考えられます。

ネオナチとの関連性

ウトキンの身体には、ナチスの武装親衛隊の記章のタトゥーが彫られており、ネオナチとの関連性が指摘されています。このため、ウトキンが率いるワグネル・グループは、ネオナチ的な思想を持つ傭兵集団として認識されることもあります。しかし、ウトキン自身がネオナチをどのように考えていたのか、その真意は不明です。

結論

ドミトリー・ヴァレリエヴィチ・ウトキンは、軍人、傭兵、そしてワグネル・グループの指導者として、多くの謎に包まれた人物でした。彼の死は、ワグネル・グループの将来だけでなく、国際的な軍事・政治情勢にも影響を与える可能性があります。ウトキンの生涯と行動は、今後も様々な角度から検証されるでしょう。

関連項目

エフゲニー・プリゴジン - ともにワグネル・グループの創設者。2023年8月の墜落事故でともに死亡したとみられる。
アレクセイ・ミカコフ - ルシッチ・グループの創設者。ウトキンと同じ第76親衛空挺師団出身とされる。

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