ドミトリー・ヤゾフ

ドミトリー・ティモフェヴィッチ・ヤゾフの生涯と業績

基本情報

ドミトリー・ティモフェヴィッチ・ヤゾフ（Дми́трий Тимофе́евич Я́зов）は、1924年11月8日にソビエト連邦のオムスク州ヤゾヴォで生まれ、2020年2月25日に95歳で亡くなった、ソビエト連邦の軍人および政治家である。彼はゴルバチョフ政権の下で国防大臣を務め、最後に任命されたソ連邦元帥として知られている。

軍歴と戦歴

1941年11月、ヤゾフは赤軍に入隊し、その後モスクワ赤旗歩兵学校を卒業した。独ソ戦ではレニングラード攻防戦やバルト海攻勢などの重要な戦闘に参加し、彼は勇敢な戦士として名を馳せた。当時、彼は狙撃兵として部隊の指揮を執り、軍内での評価を高めた。特にレニングラード戦線での防衛任務が評価され、彼の軍事キャリアの礎となった。

戦争が終結した後もヤゾフは陸軍に留まり、さらなる学びを続けた。彼は複数の軍事教育機関を卒業し、1961年からは連隊長としての職務につく。その後も着実に昇進を果たし、国防省人事総局長、軍団長、中部軍集団司令官などの要職を歴任した。

ゴルバチョフ政権下の国防大臣としての役割

1987年、ヤゾフはゴルバチョフの信任を受けて国防次官に就任し、その後国防大臣に昇格した。この時期、彼はペレストロイカ政策による国内外の変化に直面し、特に民族自決の動きや軍縮といった課題に対処しなければならなかった。ヤゾフは当初、ゴルバチョフに忠実な職業軍人と見られ、国家の安定を重んじる姿勢を持っていたものの、その後次第に保守的な立場を取るようになった。

1991年の8月クーデターとその後

1991年、ヤゾフは国家非常事態委員会（GKChP）の一員として8月クーデターに加わったが、反撃に遭い失敗に終わった。彼はモスクワ市内の軍隊を撤退させ、さらなる武力衝突を防ぐための行動に出た。その結果、逮捕され、1年間の服役を経て釈放されることとなる。彼の行動は賛否が分かれ、後に自身の行動について反省の言葉も残している。

ソ連崩壊後の活動

ソ連崩壊後、ヤゾフは再起を図り、1998年からはロシア国防省で国際軍事協力に関与。彼の経験や知識を生かし、地域的な組織の設立にも寄与した。特に、G.K.ジューコフソ連邦元帥記念委員会の議長を務め、多くの活動に従事した。

晩年と死

2020年2月25日にモスクワで死去するまで、ヤゾフは95年間の長い人生を全うした。彼の訃報には多くの国の指導者が追悼の意を表し、葬儀にはロシアの国旗に包まれた棺が用意され、盛大な儀式が行われた。彼の死から3週間前には、ショイグ国防相から祖国功労勲章を授与されている。ヤゾフの人生は、第二次世界大戦の英雄から国防の最前線に立った指導者としての幅広い業績に彩られ、彼の影響力は今もなお色あせることはない。

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