ドラえもん (1973年のテレビアニメ)

1973年日本テレビ版『ドラえもん』

『ドラえもん』は、日本の著名な漫画家藤子不二雄の作品であり、そのアニメシリーズの中でも1973年に放送された日本テレビ版が特に注目に値します。この作品は藤子不二雄の漫画を基にした初めての映像化で、放送は1973年4月から9月までの間、日本テレビにて行われました。全52話で構成され、一般には「第1作」として知られています。

企画から放映まで

このアニメ企画は、日本テレビ動画の社長である新倉雅美によるものです。彼の当初の夢は『少年次郎長三国志』のアニメ化でしたが、その企画は実現せず、急遽『ドラえもん』の映像化が決まりました。当時、小学館の編集長であった井川浩は、人気漫画『ドラえもん』をテレビアニメの原作として推薦した人物で、彼の推薦が制作を後押ししました。また、日本テレビのプロデューサー川口晴年も制作に携わっています。

制作担当の真佐美ジュンは、1972年に日本テレビ動画に参加し、子供たちのための夢のある作品を作りたいという志をもって本作に関わりました。彼は、アニメの制作において夜遅くまで作作業を行い、制作スケジュールの管理など実務全般を取り仕切る役割を果たしました。本作のパイロットフィルムは、放送の3ヶ月前に急遽制作され、スタジオ近くの幼稚園で試写が行われ、子供たちの反応を確認したと言われています。

放送開始と視聴率

1973年4月1日、本作の第1話「出た!ドラえもんの巻」が放送されました。初のゴールデンタイム枠での放送だったため、期待が寄せられましたが、視聴率は競合する強力な裏番組に押され、苦戦を強いられることになります。特に小学生向けの内容だったため、視聴層の年齢も低く、最初の放送から半年間は視聴率に苦労することになりました。製作側は、視聴率を10%以上に引き上げるため、声優交代やキャラクターの改変などのテコ入れを行います。

突然の中断と最終回

1973年8月、新倉雅美が突然失踪し、経営状態は急激に悪化します。この混乱の中で最終回に至り、9月30日には「さようならドラえもんの巻」が放送されました。最終回では、のび太の自立心をテーマにした感動的なストーリーが展開され、ドラえもんが未来に帰る決意を表明する場面が描かれました。エンディングでは「次回もお楽しみに」というメッセージが残され、制作スタッフの未練が感じられる演出となっています。

放送終了後の扱い

この作品は放送終了後、様々な理由で再放送やDVD化が行われず、現在ではほとんどの資料が消失しています。元スタッフによると、残された制作資料は多くが焼却され、本作についての情報は少なくなってしまったとされています。特に、原作者の藤本弘は本作の内容に対し否定的な見解を示しており、その結果、公式の場で取り上げられる機会がほとんどなくなりました。

現在の評価

本作は、現存する作品の中でも特に評価が分かれる存在です。しかし、放送当時のスタッフは多くの情熱を注いで制作に臨んだことが伝わります。近年では、当時のスタッフやアニメ関係者による新たな評価の試みも行われており、作品の再評価が進んでいます。この作品が『ドラえもん』の原点であり、アニメ文化に与えた影響は決して小さくありません。

今後も、この1973年日本テレビ版『ドラえもん』が持つ魅力は、ファンの間で語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索