新倉雅美

新倉雅美の生涯と影響

新倉雅美（にいくら まさみ、1937年 - 1986年5月）は、日本のアニメーション界における特異な存在でした。彼は日放映動画スタジオ、東京テレビ動画の元代表取締役および日本テレビ動画の社長として名を馳せ、数多くのアニメ制作に携わりました。彼の評価は分かれますが、アニメ業界に与えた影響は確かなものでした。

1. 生い立ちと初期のキャリア

新倉は新潟県北蒲原郡聖籠町で生まれました。彼の家庭は網元という地元では裕福な家だったため、育ちには恵まれていました。中学校を卒業後、東京に上京し、最初は俳優を目指して劇団に参加。しかし、アニメーション制作へ転向すると、今後のキャリアに大きな影響を及ぼしました。

1962年に島田一路が運営するコマーシャルプロダクションに入社。ここでの経験を経て、創業間もない東京ムービーに移籍し、アニメーターとしてのスキルを磨きました。特に、初の制作作品『ビッグX』の実質的なディレクターであった岡本光輝の影響を受け、新倉は今後の制作活動へと繋げていきます。

2. 日本放送映画時代

1965年、新倉は日本放送映画に参加し、同スタジオ内でアニメ制作部門も設立されました。彼は代表取締役に就任し、アニメ『戦え!オスパー』で監督としても活動。これにより、一時は業界内での地位を確立しました。しかし、フィルム納入のトラブルなどが重なり、最終的には日本放送映画が解散。

3. 東京テレビ動画の設立

1968年、日本放送映画が解散に伴い、新倉は東京テレビ動画を設立しました。『夕やけ番長』の制作をはじめとして、同社は短期間で日本テレビのアニメ制作の中心として知られるようになります。しかし、日本テレビとの契約に関するトラブルが生じ、最終的には東京テレビ動画は解散に追い込まれました。

4. 日本テレビ動画とその後の失踪

1971年11月、新倉は日本テレビ動画の社長に就任。会社の基盤も旧東京テレビ動画の新潟スタジオをほぼ引き継いでいました。しかし、1973年8月に彼が突然失踪したことにより、『ドラえもん』の製作にも影響を及ぼします。失踪の背景には、経済的な問題や内部のトラブルがあったとされています。

5. 最後の運命と評価

失踪後、新倉はフィリピンに移住し、映画製作に関与しましたが、成功を収めることはできず、最終的には拳銃密輸事件に関与し逮捕されることになります。彼の最後の消息は1986年以降不明です。アニメーション界における彼の貢献や影響力は、その複雑な人生とともに評価され続けています。

アニメの制作に対する情熱と、作品の内容に対する無関心が指摘される一方で、国際的な視点や政治力を駆使して数多くのアニメ製作に成功していた点は評価されるべきです。新倉は、アニメ界の変革者とも言える人物でした。

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