ドラゴンランス

ドラゴンランスシリーズ

『ドラゴンランス』シリーズは、テーブルトークRPG『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ』(AD&D)の世界観を基に展開された、壮大なファンタジー小説群です。小説だけでなく、AD&D用の設定集やシナリオもシリーズ展開されました。

作品の概要

このシリーズは、マーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンという2人の作家によって主に執筆されました。彼らの手による『ドラゴンランス戦記』三部作は、世界中で累計5千万部以上を売り上げる大ヒットとなり、エピックファンタジー小説ブームの先駆けとなりました。

日本では過去に富士見書房から翻訳版が発行されていましたが、版元のTSR社がウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に買収された影響で、長らく絶版となっていました。その後、『ドラゴンランス』と改題され、アスキー・メディアワークスから新訳版が出版されました。現在、新訳版も一部を除き絶版となっていますが、角川つばさ文庫から第1シリーズが復刊されています。また、『レイストリン戦記』は、出版から20年以上経った2021年にKADOKAWAから翻訳本が刊行されました。

小説やゲームシナリオにとどまらず、コンピュータゲーム（RPG、アクション、戦略SLGなど）、ゲームブック、カードゲームなど、様々なメディアで展開されています。

各シリーズのあらすじ

ドラゴンランス戦記 (Chronicles):
大変動と呼ばれる世界規模の災害後、神々に見捨てられた世界で、冒険者たちが癒しの力を持つ杖を巡り、伝説のドラゴンや悪の女神との戦いに巻き込まれます。

ドラゴンランス伝説 (Legends):
英雄として名を馳せたキャラモンは、悪の大魔術師となった双子の弟レイストリンを忘れられず苦悩します。一方、僧侶クリサニアはレイストリンを改心させようと試みますが、逆に利用されてしまいます。キャラモンは弟の野望を阻止するため、過去へと旅立ちます。

セカンドジェネレーション (The Second Generation):
平和が訪れたかに見えた世界に、新たな危機が迫ります。信義と誓いで結ばれた悪の騎士団が勢力を拡大し、英雄たちの第二世代が登場します。父の力を受け継ぐパリン、善と悪の血に苦悩するスティール、そしてタニスとローラナの息子ギルサス。彼らを待ち受ける運命が描かれます。

夏の炎の竜 (Dragons of Summer Flame):
世界制覇を目前にした暗黒騎士団。しかし、その背後には混沌の神が潜んでいました。世界を無に帰そうとする混沌に対し、地上の勢力を統一するべく戦いが繰り広げられます。

レイストリン戦記 (The Raistlin Chronicles):
ドラゴンランス戦記の前日譚。レイストリンの幼少期から、仲間たちとの出会い、そして大審問を経て、初期の冒険と戦いが描かれます。

魂の戦争 (The War of Souls):
神々が去り、人の時代が始まった世界。しかし、突如現れた巨大なドラゴンたちによって地上は支配されます。そんな中、唯一神の教えを説く少女ミーナが現れ、暗黒騎士団を勝利へと導きます。

ドラゴンランス秘史 (The Lost Chronicles):
ドラゴンランス戦記の時代、語られなかった仲間たちの冒険と戦いが描かれます。

主な登場人物

タニス・ハーフ＝エルヴン: ハーフエルフの戦士で、一行のリーダー的存在。弓と剣の名手。
スターム・ブライトブレイド: 高潔なソラムニア騎士。騎士道と名誉を重んじる。
フリント・ファイアフォージ: 丘ドワーフの細工師で戦士。頑固だが頼りになる。
タッスルホッフ・バーフット: ケンダーのシーフ。いたずら好きだが、冒険には欠かせない存在。
キャラモン・マジェーレ: レイストリンの双子の兄。怪力で屈強な戦士。弟を溺愛している。
レイストリン・マジェーレ: キャラモンの双子の弟。優秀な魔術師。冷酷で皮肉屋。
ティカ・ウェイラン: 快活な娘で、後にキャラモンの妻となる。フライパンでの攻撃が得意。
ゴールドムーン: 平原の蛮族の娘。癒しの女神ミシャカルの僧侶。
リヴァーウィンド: ケ=シュ族の羊飼い。ゴールドムーンの恋人。
キティアラ・ウス＝マタール: キャラモンとレイストリンの異父姉。ドラゴン軍のドラゴン卿。
ローラナ: クォリネスティ・エルフの王女。タニスを慕っている。
ギルサナス: ローラナの次兄。戦士/魔法使い。
フィズバン: 旅の途中で一行に加わる老魔術師。その正体は謎に包まれている。
クリサニア・タリニウス: パラダインの聖女。レイストリンとの対決を望む。
ダラマール・アージェント: 黒エルフの魔術師。レイストリンの弟子。
フィスタンダンティラス: 大変動以前の最強の黒ローブの魔術師。
パリン・マジェーレ: キャラモンとティカの息子。白ローブの魔術師。
スティール・ブライトブレイド: スタームとキティアラの息子。暗黒騎士団に仕える騎士。
ウーシャ: 金色の髪と目を持つ少女。「レイストリンの娘」と呼ばれる。
ギルサス・ソロスタラン: タニスとローラナの息子。
ネアラ: 記憶をなくした少女。
ミーナ: 嵐の夜に現れた少女。唯一神を信じるよう唱える。
ジェラード: 若きソラムニア騎士。
アレクシウス・メダン: 暗黒騎士。クオリネスティを長年治める元帥。
モーハン・タルゴンヌ: 暗黒騎士団を乗っ取った会計士。テレパス。
シルヴァノシェイ・カラドン: シルヴァネスティの王子。

神々

パラダイン: 善の神。ソラムニア騎士団で崇拝される。
ギレアン: 中立の神で書物を司る。
タキシス: 悪の神。「暗黒の女王」。
レオルクス: ドワーフたちが信仰する神。鋳物を得意とする。
ミシャカル: 癒しの神。ゴールドムーンが持つメダリオンにはこの神の加護がある。
ソリナリ: パラダインとミシャカルの息子。白ローブの魔術師たちの神。
ルニタリ: ギレアンの娘。赤ローブの魔術師たちの神。
ヌイタリ: タキシスとサルゴナスの息子。黒ローブの魔術師たちの神。
キリ・ジョリス: 戦争と勇気、栄誉を司る。

ドラゴン

邪竜 (色彩竜):
スカイア: ブルードラゴンで、キティアラの騎竜。
マータフルール: 老齢のレッドドラゴン。
カイアン・ブラッドベイン: グリーンドラゴン。ロラックが盗んだドラゴン・オーブで呼び出される。
善竜 (金属竜):
ファイアフラッシュ: ブロンズドラゴン。フリントとタッスルホッフを乗せた。
パイライト: 年老いたゴールドドラゴンで、パラダインの竜。
シルヴァラ: シルバードラゴン。
別世界から来た巨竜 (異世界竜):
ベリリンスラノクス: 巨大なグリーンドラゴン。
* マリストリクス: 巨大なレッドドラゴン。

映像化

2008年にアニメ映画"Dragonlance: Dragons of Autumn Twilight"が公開されましたが、ファンや批評家の間では不評でした。

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