ドラムス・アンド・ワイアーズ

ドラムス・アンド・ワイアーズ

XTCの3枚目のスタジオ・アルバム『ドラムス・アンド・ワイアーズ』は、1979年にヴァージン・レーベルから世に放たれた。

バンドは前作『ゴーズ・トゥ・ア・ネイティヴ・ランド』発表後、キーボード奏者のバリー・アンドリュースが脱退し、新たにギタリストのデイヴ・グレゴリーが加入するという重要なメンバーチェンジを経て、本作の制作に臨んだ。レコーディングは、1979年6月から7月にかけて、ロンドンのタウンハウス・スタジオで行われた。

アルバムのタイトルは、当時のバンドの音楽的方向性を端的に表している。重視されたドラムサウンドと、ギターの弦（金属線）が織りなすサウンドの感触から、「ドラムと金属針」を意味する『ドラムス・アンド・ワイアーズ』と名付けられた。

本作からは、ベーシストであるコリン・モールディングが手掛けた楽曲「Making Plans for Nigel」がシングルカットされた。この曲は、バンドにとって初めて全英シングルチャートのトップ20入り（最高17位）を果たす大ヒットとなり、XTCが広く認知されるきっかけとなった。この成功は、彼らのキャリアにおける大きな節目となったと言えるだろう。

2014年にはリマスター盤が発売され、オリジナルLPには未収録だった「Life Begins at the Hop」のロングバージョンなどが追加され、音質も向上した形で再びリスナーに届けられた。

日本においては、ロックバンドBase Ball Bearがライブ登場時のSEとして「Making Plans for Nigel」を長年使用していることで知られており、日本のリスナーにも馴染み深い楽曲となっている。

本作のレコーディングには、以下のメンバーとスタッフが参加した。

レコーディング・メンバー

アンディ・パートリッジ (Andy Partridge) - ギター、ボーカル
コリン・モールディング (Colin Moulding) - ベース、ボーカル
デイヴ・グレゴリー (Dave Gregory) - ギター、キーボード、バック・ボーカル
テリー・チェンバーズ (Terry Chambers) - ドラムス
Dick Cuthell - トランペット (「That Is the Way」)

スタッフ

スティーヴ・リリーホワイト (Stephen Lillywhite) - プロデュース
ヒュー・パジャム (Hugh Padgham) - エンジニア
イアン・クーパー (Ian Cooper) - デジタル・リマスター（メトロポリス・マスタリング）
ヒプノシス (Hipgnosis) - カバーアート

収録曲

original UK LP

1. Making Plans For Nigel
2. Helicopter
3. Day Dreaming
4. Millions
5. That Is The Way
6. Outside World
7. Scissor Man
8. Roads Girdle The Globe
9. Ten Feet Tall
10. Crowded Room
11. Travelogue
12. Complicated Game

2001 remastered (追加トラックのみ)

Chain Of Command
Limelight
Life Begins At The Hop
Life Begins At The Hop (Long Version)
Looking For Footprints
When You're Near Me I Have Difficulty
Roads Girdle The Globe (Early/Alternative Version)
Millions (Early/Alternative Version)
That Is The Way (Early/Alternative Version)
Helicopter (Early/Alternative Version)
Day Dreaming (Early/Alternative Version)
Sleepyheads
Pulsing Pulsing
Looking Glass
Instant Tunes

なお、オリジナルUK盤LPの最初の20,000枚には、「Chain Of Command / Limelight」が収録された7インチ・シングル盤が特典として封入されていた。

本作は、デイヴ・グレゴリーの加入によってサウンドが大きく変化し、ドラムとギターを軸としたソリッドで鋭角的なロックサウンドを確立。ポップセンスとアバンギャルドな探求心を融合させたXTCの独自性がより鮮明になった作品として、バンドのキャリアを語る上で欠かせないアルバムである。

(出典: Discogsなどリリース情報)

* 外部リンク: Drums And Wires - Discogs

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