ドリス・カーンズ・グッドウィン

ドリス・カーンズ・グッドウィンは、1943年1月4日にニューヨーク・ブルックリンで生まれました。彼女は、コルビー大学を卒業後、ハーバード大学で博士号を取得しました。1967年から1969年までホワイトハウス・フェローとして勤務した後、ハーバード大学で教鞭をとり、教育者としてのキャリアも積みました。

グッドウィンは、アメリカの歴史と政治に関する深い知識と、卓越した文章力で知られています。彼女の著作は、単なる歴史的事実の羅列ではなく、登場人物の内面や人間関係、そして時代背景を詳細に描き出し、読者に歴史を身近に感じさせる力を持っています。

彼女の代表作の一つである『No Ordinary Time』は、フランクリン・ルーズベルト大統領夫妻と第二次世界大戦中のアメリカ社会を描いたもので、1995年にピューリッツァー賞（歴史部門）を受賞しました。この作品は、戦争という非常時における大統領夫妻のリーダーシップと、アメリカ国民の団結力を鮮やかに描き出しています。

また、『Team of Rivals』は、エイブラハム・リンカーンの政治手腕と、彼を支えたライバルたちの物語を描いた作品で、2005年にリンカーン賞を受賞しました。この作品は、リンカーンが困難な時代にどのようにリーダーシップを発揮し、国家を導いたかを詳細に分析しており、多くの読者に感銘を与えました。この作品は後に映画化され、『リンカーン (映画)』として公開されました。

グッドウィンの著作は、歴史を単なる過去の出来事としてではなく、現代社会を理解するための重要な手がかりとして捉えることを促します。彼女は、リーダーシップ、政治、社会の変革といったテーマを深く掘り下げ、読者に考えるきっかけを与えています。

彼女はまた、その歴史に対する深い造詣と鋭い分析力を活かし、政治評論家としても活躍しています。テレビ番組や講演会などで、現代社会の問題に対して歴史的な視点から考察を加え、幅広い層からの支持を得ています。

著書には以下のようなものがあります。

Lyndon Johnson and the American dream, Harper & Row, 1976.
The Fitzgeralds and the Kennedys, Weidenfeld and Nicolson, 1987.
No Ordinary Time: Franklin and Eleanor Roosevelt, the home front in World War II, Simon & Schuster, 1994.
『フランクリン・ローズヴェルト（上）日米開戦への道』、砂村榮利子・山下淑美訳、中央公論新社、2014年
『フランクリン・ローズヴェルト（下）激戦の果てに』、砂村榮利子・山下淑美訳、中央公論新社、2014年
Wait till next year: a memoir, Simon & Schuster, 1997.
『来年があるさ』、松井みどり訳、ベースボール・マガジン社、2000年
Team of Rivals: the political genius of Abraham Lincoln, Simon & Schuster, 2005.
『リンカン（上）南北戦争勃発』、平岡緑訳、中央公論新社、2011年
『リンカン（下）奴隷解放宣言』、平岡緑訳、中央公論新社、2011年
『リンカーン（上）大統領選』、平岡緑訳、中公文庫、2013年
『リンカーン（中）南北戦争』、平岡緑訳、中公文庫、2013年
『リンカーン（下）奴隷解放』、平岡緑訳、中公文庫、2013年
The bully pulpit: Theodore Roosevelt and the golden age of journalism, Viking, 2013.
* Leadership in Turbulent Times, Simon & Schuster, 2018.

これらの著作を通じて、彼女はアメリカの歴史、特に政治指導者の人物像とその時代背景を深く掘り下げ、多くの読者に影響を与え続けています。

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