ドリトル先生アフリカ行き

ドリトル先生アフリカ行き：ロッテ・ライニガーによるアニメーションの傑作

1928年、ドイツで製作されたモノクロ無声アニメーション映画『ドリトル先生アフリカ行き』（原題：Doktor Dolittle und seine Tiere）は、アニメーション界の重要な歴史的遺産の一つです。この作品は「アニメーションの母」と呼ばれるロッテ・ライニガーの初期作品であり、ヒュー・ロフティングの児童文学作品『ドリトル先生アフリカゆき』（原題：The Story of Doctor Dolittle）を原作としています。

映画は、原作の前半部分から3つのエピソードを厳選し、それぞれ約10分程度の尺で構成されています。動物と会話のできるお医者さん、ドリトル先生と、彼と共に暮らす動物たちのユーモラスで心温まる物語は、子供から大人まで幅広い年齢層に魅力的に映ります。

第1編：アフリカへの航海

最初のエピソードでは、ドリトル先生と彼と共に暮らす動物たちの日常生活が描かれます。アヒルは料理、サルは皿洗い、豚は水汲み、そしてオウムは先生の眼鏡を拭くなど、それぞれの動物が家事に協力し、先生は毎晩動物たちに本を読んで聞かせます。そんなある日、一羽のツバメが病気で苦しむアフリカのサルたちを知らせにやってきます。この知らせを受け、ドリトル先生は動物たちと共にアフリカへの冒険の旅に出発します。

第2編：サルの橋

アフリカへ向かう船は、沖合で難破してしまいます。なんとか上陸したドリトル先生と動物たちは、原住民に捕まり牢屋に入れられてしまいますが、脱出に成功します。原住民に追われる先生たちは断崖絶壁に追い詰められますが、そこに現れたサルたちが手を繋いで峡谷に橋を作り、先生たちを救います。こうして、サルたちの国にたどり着いたドリトル先生は、病気のサルたちの治療を開始します。

第3編：ライオンの協力

多くのサルたちが病気で苦しむ中、治療の手が回らないドリトル先生はライオンに協力を求めます。しかし、ライオンは最初はサルを助けることを拒否します。ところが、ライオンの子供が怪我をしてしまい、ドリトル先生の手当てを受けたことで、ライオンは自分の傲慢さを恥じ、サルたちの治療を手伝うようになります。先生と動物たち、そしてライオンの協力によって、サルたちは元気を取り戻し、物語は平和な結末を迎えます。

アニメーション表現と歴史的意義

ロッテ・ライニガーの緻密な影絵アニメーションは、この映画の大きな魅力です。モノクロームながらも、動物たちの表情や動き、そしてアフリカの風景が生き生きと描かれており、無声映画であることを補って余りある表現力を感じさせます。この作品は、ライニガーの革新的なアニメーション技術と、普遍的なテーマを組み合わせた、アニメーション史において重要な作品として高く評価されています。現在では、DVDなどで鑑賞することができ、当時のアニメーション技術の素晴らしさ、そして物語の持つ魅力を改めて体感できます。 ライニガーの作品群は、現在でも世界中のアニメーション作家たちに多大な影響を与え続けており、その歴史的意義は非常に大きいと言えるでしょう。

作品情報

タイトル：ドリトル先生アフリカ行き (Doktor Dolittle und seine Tiere)
製作年：1928年
製作国：ドイツ
ジャンル：アニメーション映画
原作：ヒュー・ロフティング『ドリトル先生アフリカゆき』
監督：ロッテ・ライニガー

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