ドリームシグナル

ドリームシグナル：競走馬から愛される老馬へ

2005年6月4日生まれのドリームシグナルは、日本の競走馬として華々しいデビューを飾ったわけではありませんでしたが、2008年のシンザン記念優勝という大きな功績を残しました。この勝利は、父であるアグネスデジタルにとっても初の重賞制覇となり、大きな話題となりました。

デビューは2007年。阪神競馬場での2歳新馬戦で3着という結果からスタートし、その後、徐々に頭角を現していきます。3戦目で初勝利を挙げ、続く京王杯2歳ステークスでは2着と好成績を残しました。朝日杯フューチュリティステークスでは4着と惜しくも入賞を逃しましたが、勢いは衰えず、3歳初戦のシンザン記念では見事な差し切り勝ちで重賞初制覇を達成しました。

シンザン記念勝利後も、NHKマイルカップで4着に入るなど活躍を見せましたが、その後は思うような成績を残せず、2009年夏以降はクラス降級を経験します。2010年6月の湘南ステークス17着が最後のレースとなり、同月10日付で競走馬登録を抹消されました。

競走馬としてのキャリアを終えたドリームシグナルは、岐阜県、そして石川県へと移り、乗馬として第二の人生を歩み始めます。笠松ライディングスクール、金沢乗馬倶楽部で人々に愛されながら、穏やかな日々を送りました。さらに、金沢競馬場では誘導馬としても活躍し、多くの関係者から慕われる存在となっていました。

引退後も、ドリームシグナルの穏やかな性格は多くの人を魅了しました。石川県珠洲市の農園「タイニーズファーム」で余生を送り、調教師を勇退した角居勝彦氏や地元の児童たちと、鉢ケ崎海岸の清掃活動に参加するなど、地域社会にも貢献していました。2022年には、引退名馬繋養展示事業の対象馬にも選ばれています。

しかし、2023年2月上旬、持病の腰痛が悪化。馬房の外で転倒するなど、3度にわたって自立での起立が困難となる事態が発生しました。スタッフの懸命な介助を受けていましたが、転倒と起立困難を繰り返すことで蹄葉炎が悪化。治療は続けられましたが、症状は改善せず、苦痛を伴う状態が続きました。

苦渋の決断として、2023年3月1日、安楽死の措置が取られました。ドリームシグナルは、競走馬として、そして乗馬として、多くの人の心に残る、素晴らしい馬生を送ったと言えるでしょう。その生涯は、競走馬としての栄光だけでなく、引退後の穏やかな日々、そして地域社会への貢献という、多くの感動と記憶を私たちに残しました。

ドリームシグナルの血統には、半兄にホクトスルタン（目黒記念優勝馬）がいるなど、サラブレッドとしての優れた遺伝子を受け継いでいました。その血統、競走成績、そして引退後の活躍は、多くの競馬ファン、そして馬を愛する人々の記憶の中に、長く刻まれることでしょう。彼の功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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