ドルアーガの塔 (アトラクション)

ドルアーガの塔（アトラクション）

『ドルアーガの塔』は、ゲームメーカーとして知られるナムコ（現在のバンダイナムコエンターテインメント）が開発・運営した、遊園地やテーマパーク向けの大型アトラクションです。同社の人気アーケードゲーム『ドルアーガの塔』の世界観を基に、プレイヤーが積極的に参加できるゲーム要素を盛り込んだライド形式の施設として企画されました。

概要

本アトラクションは、1990年に大阪市鶴見緑地で開催された「国際花と緑の博覧会」（通称：花の万博）において、『ギャラクシアン3』と並ぶナムコ館の目玉展示として初公開されました。当時としてはまだ珍しかった、来場者がゲームプレイに直接参加できる形式を取り入れ、大きな反響を呼びました。この成功は、その後にナムコが東京都内に開設した直営テーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ」のコンセプトや運営方針に影響を与えたと言われています。

アトラクションは、高さ約20メートルにも及ぶ巨大な塔をシンボルとしており、4人乗りのライドに乗り込んで内部を進んでいきます。ゲーム感覚をライドシステムに本格的に融合させた施設であり、後年の東京ディズニーランドにおける「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」といったタイプのアトラクションに先駆ける存在であったと評されています。元々は、1987年に富士急ハイランドに設置された「シューティングコースターゾーラ」をさらに発展させたものであり、「ゾーラ」の企画者・製作者が引き続き本アトラクションの開発も手がけました。

ゲームシステム

ライドに搭乗したプレイヤーは、それぞれに備え付けられた銃型のコントローラーを使用します。この銃からは、狙いを定めた場所を示す赤色LEDの光と、プレイヤー情報を乗せた赤外線が出力されます。塔の内部に登場する敵キャラクターには特殊なターゲットが取り付けられており、プレイヤーが銃の引き金を引いて放った赤外線がこのターゲットに正しく受信されると、敵を倒すことができます。プレイヤーは、次々と現れる敵を撃破しながら、塔の奥深くまで進んでいくことになります。

敵を倒すことで、オリジナルゲームと同様に特定のアイテムが出現することがあります。これらのアイテムを獲得することでゲーム展開が変化したり、有利になったりする要素が盛り込まれていました。ライド側も常時赤外線通信で情報を取得しており、各プレイヤーの座席に設置されたパネルには、得点や獲得アイテムといった現在のプレイ状況がリアルタイムで表示されました。

アトラクションの最終目的は、塔の最上階に待ち受ける大ボス、悪魔ドルアーガを撃破することです。

ゲームフローと評価

ドルアーガに至るまでには、まず中ボスとして強力なドラゴンが登場します。このドラゴンを規定時間内に倒せなかった場合、アトラクションはそこで終了となり、ドルアーガと対決することなく、評価は最低ランクの「ブロンズナイト」となります。

ドラゴンを倒すことに成功すると、いよいよ最終ボスであるドルアーガとの戦いに挑むことができます。しかし、ドルアーガの弱点は、プレイヤーの銃の照準と同じ赤色の光を放っているため、狙いを定めることが非常に困難でした。もしドルアーガを倒せなかった場合は、「シルバーナイト」という中間的な評価になります。そして、見事ドルアーガを撃破することができたプレイヤーは、囚われのヒロイン、カイを救出することに成功し、最高評価である「ゴールドナイト」を獲得することができました。

ゲームオーバーとなった場合、ドラゴン戦敗北時はドルアーガの間手前で、ドルアーガ戦敗北時はその場で、ライドの進行方向が90度右に変わり、特別に設けられた退場コースを通って乗り場へと戻る仕組みでした。

なお、このアトラクションでは、個々のプレイヤーの個人スコアは表示されず、4人乗りのライド全体の合計スコアのみが集計される形式が採用されていました。これは、遊技施設が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律（風適法）の適用対象となることを避けるために取られた措置であると言われています。

歴史

1990年の花の万博での初出展時には、ライド部分の製造を遊園施設メーカーであるトーゴが担当しました。

博覧会終了後、本アトラクションは1992年に東京都世田谷区二子玉川にオープンしたナムコ直営テーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ」へと移設され、引き続き多くの来場者を楽しませました。しかし、当初は移設を想定して製造されていなかったため、問題が発生しました。大阪（花の万博開催地）と東京（ナムコ・ワンダーエッグ所在地）では商用電源の周波数が異なり（大阪60Hz、東京50Hz）、そのままではライドを駆動するモーターの回転速度に影響が出てしまうため、ワンダーエッグでの運営時にはインバーターを使用して50Hzから60Hzへと周波数を変換することで対応していました。ちなみに、同時出展された「ギャラクシアン3」はモーターで直接駆動する構造ではなかったため、このような問題は生じませんでした。

惜しまれつつも、ナムコ・ワンダーエッグが2000年 12月31日をもって閉園したことに伴い、本アトラクションも解体・廃棄されました。そのため、残念ながら現在はその姿を見ることはできません。

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