ドルアーガオンライン THE STORY OF AON

ドルアーガオンライン ザ・ストーリー・オブ・オーン

概要

『ドルアーガオンライン ザ・ストーリー・オブ・オーン』(DRUAGA ONLINE THE STORY OF AON) は、2006年4月4日よりバンダイナムコゲームス（ナムコレーベル）が展開した業務用オンラインゲームです。往年のアーケードゲーム『バビロニアン・キャッスル・サーガ』の世界観をベースとし、ネットワークを介して最大4人のプレイヤーが協力して冒険できるMORPGとして設計されました。しかし、残念ながらネットワーク接続サービスは2009年10月1日午前2時をもって提供が終了しています。

ゲームシステム

本作のゲームプレイは、キャラクターの準備や管理を行う「コミュニケーションタワー」と、実際のゲームプレイを行う最大4台の「ステーション」という特徴的な筐体構成で行われます。コミュニケーションタワーは店舗内サーバーの役割も兼ね備えています。

基本的な操作は、コミュニケーションタワー、ステーションともにタッチパネル上の表示に触れることで行われます。ステーションにはさらに専用の攻撃ボタンがあり、これを操作することで連続攻撃や溜め攻撃といったアクションが可能です。

ゲームは、ミッションクリア型のアクションRPG形式で進行します。プレイヤーの最終目的は、魔王ドルアーガ率いる魔軍を、ゲームの舞台であるオーンの地から駆逐することです。ミッションには、物語に沿って進む「エピック」（一人用と協力用がある）と、単発の「クエスト」（協力専用）が存在します。

1回のゲームプレイは、キャラクターのHPが尽きるか、ミッションをクリアすることで終了します。ミッションをクリアした場合は、獲得したお金やアイテムの分配が行われ、プレイに応じたポイントが加算されます。ゲームオーバーの場合もおお金とポイントは加算されますが、アイテムは入手できません。獲得したポイントが累積することでキャラクターの「ランク」が上昇し、新たな特殊能力を覚えたり、より強力な装備品を使用できるようになります。

プレイヤーのゲームデータは、コミュニケーションタワーで発行されるICカードによって管理されます。ICカードには、キャラクター情報が記録されるメインのカードと、獲得したアイテムを保管する「倉庫カード」があります。倉庫カードは特定のキャラクターカードに紐付けられ、一人のキャラクターが複数の倉庫カードを持つことは可能ですが、一つの倉庫カードを複数のキャラクターが共有することはできません。

登場キャラクター

プレイヤーは、シリーズの主人公であるギルガメスとカイ（ヤング・カイ）、『ワルキューレの冒険』のワルキューレ、そして本作オリジナルのゼオバルガという、それぞれ異なる特性を持つ4タイプのキャラクターから選択できます。

ギルガメス: 初心者向けとされる、防御力に優れた近接戦闘タイプ。基本操作を学ぶのに適しており、盾による正面からの物理攻撃無効化や無敵時間の長い技を持ちます。移動速度は遅めですが、バージョンアップでこれを補う装備も追加されました。物語ではバビリムの王となった姿で登場します。
ワルキューレ: 中級者向けとされますが、移動・攻撃速度は速いものの、攻撃力・防御力が低い弓兵タイプのため、実際には扱いが難しいキャラクターです。回避行動や接近戦で有効な攻撃手段も持ちます。
ヤング・カイ: 上級者向けの魔術師タイプ。HPと防御力は低いですが、被ダメージ無効化の特殊技を初期から使用でき、瞬間移動による特殊な移動形態を持ちます。攻撃力は知力に依存します。物語では、平行世界から召喚されたカイとして登場します。
ゼオバルガ: 上級者向けのロボットタイプ。全キャラクター中最高の攻撃力を持ち、両腕を使った攻撃はヒットバックが発生しないため手数が豊富ですです。初期移動速度は遅いですが、装備する脚部によって改善されます。物理攻撃を相殺しAPを回復する能力も持ちます。

冒険の中で、お馴染みの女神イシターやオーン王家の末裔イナーナ、ゼオバルガの旅に同行する3兄妹ラビ、ラギ、ララ、聖竜クオックス、魔軍に抵抗するオーン軍の人々といった協力者たちと出会います。

プレイヤーの前に立ちはだかる敵としては、復活した悪魔ドルアーガとその親衛隊、謎多き参謀ゲイト、ドルアーガ亡き後の覇権を狙う悪魔アンシャー、強力な混沌竜ティアマットなどが登場します。また、プレイヤーと因縁を持つライバルキャラクターたちも存在し、ギルガメスと対立する黒金の騎士クロムナイト、ワルキューレの複製であるブラックワルキューレ、ヤング・カイの前に現れる夢魔サキュバス、ゼオバルガを狙う天界のゴーレム・テンペストなどが、それぞれの思惑を持ってプレイヤーと戦います。

ゲームにはスライムやナイト族、ドラゴンなど、『バビロニアン・キャッスル・サーガ』や関連作品から多数のモンスターが登場します。これらの通常モンスターに加え、稀に出現するレアモンスターや巨大化したスーパーモンスター、そしてミッションの最後に待ち受ける強力なボスモンスターたちが冒険の行く手を阻みます。

技能・成長要素

キャラクターはランクアップするごとに新たな技能を習得し、強化されていきます。技能は、習得すると常時効果を発揮する「スキル」、再使用時間のある補助・特技である「アーツ」、そしてAPを消費して繰り出す必殺技・魔法「フォース」の三種類に分類されます。スキルはキャラクターの基本的な能力を底上げし、アーツは自己強化や敵への妨害、状態変化といった補助的な役割を持ちます。フォースは強力な攻撃や回復などを行う切り札であり、協力プレイ時には他のプレイヤーとの「フォース連携」により、より強力な効果を発揮させることが可能になります。

アイテム

本作には、冒険を有利に進めるための様々なアイテムが存在します。主要なものはキャラクターの能力に大きく関わる「装備品」で、頭、体、腕、脚、右手、左手、装飾品といった部位があります。装備品には攻撃力や防御力といったステータス補正に加え、属性や特殊効果が付与されているものもあります。武器には「重量」が設定されており、攻撃速度に影響します。また、使い込むことで「熟練度」が上がり、基本攻撃力が上昇します。

装備品は、コミュニケーションタワーの機能を使って様々な合成が可能です。アイテムを組み合わせて新たなアイテムを生み出す「通常合成」や、特定の素材で特定のアイテムを作り出す「レシピ合成」に加え、見た目と性能を組み合わせる「アストラル合成」といった特殊な合成方法も存在します。

その他にも、合成の素材となるアイテムや、ポーション、魔法のスクロールなどの「消耗品」、そしてエピック進行に関わる「貴重品」など、多くのアイテムが登場します。これらのアイテムの中には、過去のシリーズ作品に登場したものも数多く含まれており、ファンサービスの一環となっています。

コミュニケーションタワー機能

コミュニケーションタワーは、ゲームプレイの準備やキャラクター管理の拠点となります。ICカードを差し込むことで利用でき、装備変更やショップでのアイテム購入・売却、防具のカラーを変更する染色機能、そして前述の様々な合成機能といった「カスタマイズ」に関する操作が行えます。

また、ゲームプレイ中の画面下ショートカットスロットの内容設定や、チャット設定、称号変更、パスワードロックやプレイヤーネーム変更といった「ユーティリティ」機能も利用可能です。

さらに、ICカード自体に関する操作も行えます。空のICカードをキャラクター専用のアイテム保管場所として登録する「倉庫整理」や、他のプレイヤーカードとの間でアイテムやゴールドをやり取りする「トレード」機能、そして使用度数が0のカードで挑戦できる「宝くじ」などがあります。宝くじからは強力な装備品からユニークなアイテムまで様々なものが手に入ります。

音楽と世界観

本作の音楽は、『バビロニアン・キャッスル・サーガ』や『ワルキューレの伝説』といった関連作品の楽曲アレンジと、本作オリジナルの楽曲で構成されています。作曲・編曲は、スーパースィープの佐宗綾子氏とフリーの齋藤博人氏が手掛けました。稼働期間中にはサウンドトラックはリリースされませんでしたが、サービス終了から5年以上経過した2014年に、ファン待望のCDが発売されました。ライナーノーツには制作者のコメントに加え、本作のヘビープレイヤーの寄稿も収録されています。

本作の世界観は『バビロニアン・キャッスル・サーガ』を基にしていますが、『ワルキューレの冒険』や『ゼビウス』といったナムコの他作品との繋がりも示唆されています。特に『ゼビウス』は、物語の舞台となるオーンの古代語「ゼビ語」の基となっており、ゼオバルガ関連の要素で多く見られます。また、『ゼビウス』に登場する「ブラグザストーン」がアイテムとして登場するなど、クロスオーバー要素も含まれています。

関連作品:
ワルキューレの冒険 時の鍵伝説
ゼビウス

稼働期間は約3年半と比較的短い期間ではありましたが、当時のアーケードオンラインゲームとしては、タッチパネル操作と物理ボタンを組み合わせた操作系、ICカードによる詳細なデータ管理、協力プレイに特化したゲームデザイン、そしてナムコ往年の人気シリーズを題材とした世界観と音楽により、独自性の高い作品としてファンに親しまれました。サービス終了後も、サウンドトラックのリリースが実現するなど、一部根強い人気を保っています。

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