ドルニエ Do.N

八七式重爆撃機（Do.N）

八七式重爆撃機（Do.N）は、大正から昭和にかけて日本陸軍が開発した爆撃機です。この機体は、設計および試作機の製造をドイツのドルニエ社が行い、その後の量産が川崎航空機により行われました。多くの技術的特長と歴史的背景を持つ機体として、八七式重爆撃機は日本の航空界における一つの象徴となっています。

開発の過程

1924年、日本陸軍は丁式2型爆撃機の代わりとなる新たな機体の開発を川崎航空機に依頼しました。このプロジェクトでは、川崎航空機がドイツのドルニエ社およびBMW社との技術提携を行い、機体構造や製造技術の習得に努めました。特に、全金属製機体の設計に重点を置き、ドルニエ社に設計を託しました。

ドルニエ社は、設計が完了した後、技師たちを川崎航空機に派遣し、陸軍の基準に合うように試作機の製造を手伝いました。1926年に最初の試作機が完成し、当時の航空機としては革新的なデザインを持っていました。機体は全金属構造で、底面が飛行艇のようなスタイルを特徴としており、主翼は大型のパラソル型でした。

性能と使用

試作1号機には、国産化が間に合わなかったためイギリスから輸入したネイピア・ライオンエンジンが搭載されました。後に、BMW VIエンジンの国産化が進められ、改良が加えられました。1928年に正式に八七式重爆撃機として陸軍に採用されましたが、性能面ではエンジンの馬力不足や安定性の欠如が問題視されました。このため、実戦部隊での評価は必ずしも高くありませんでした。部隊内では、名称をもじって「鈍（Do.N）亀」というニックネームが付けられることもありました。

また、1929年には墜落事故が発生し、生産数は限定されました。最終的に、1932年までに川崎航空機で28機が生産されただけで、生産が打ち切られました。しかし、満州事変の際には、八七式重爆撃機は約80トンの爆弾を投下し、戦果を挙げるなど、前線では一定の成果を上げました。

技術的スペック

八七式重爆撃機の具体的な仕様は以下の通りです。

• - 全長: 18.50 m
• - 全幅: 26.80 m
• - 全高: 5.82 m
• - 主翼面積: 121.00 m²
• - 自重: 5,100 kg
• - 全備重量: 7,700 kg
• - 発動機: 川崎 ベ式450馬力発動機（BMW-6） 水冷V型12気筒×2
• - 最大速度: 180 km/h
• - 航続距離: 6時間
• - 実用上昇限度: 5,000 m
• - 乗員: 6名
• - 武装: 7.7 mm 機銃×3～5、最大1,000 kgの爆弾

八七式重爆撃機は、昭和10年頃まで日本陸軍の重爆撃機として活躍し、その時代の航空技術の進歩を象徴する存在でした。

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