ドルパ郡

ドルパ郡は、ネパール北西部のカルナリ州に位置する郡です。郡都はドゥナイに置かれています。

地理

ドルパ郡は、ネパールの最奥部に位置し、広大な面積を誇ります。その面積は約7,889平方キロメートルで、ネパールの中でも大きな郡の一つです。地形は非常に険しく、山岳地帯が大部分を占めています。この地域は、ヒマラヤ山脈の深い谷や高地に位置し、多くの場所が標高3,000メートルを超えています。

人口

2021年の国勢調査によると、ドルパ郡の人口は42,959人です。人口密度は非常に低く、広大な土地に人がまばらに居住している状況です。これは、厳しい自然環境が影響していると考えられます。郡の人口は、主にチベット系民族が占めており、独自の文化と伝統を守りながら生活しています。

文化と生活

ドルパ郡は、独特な文化を持つ地域として知られています。チベット文化の影響が強く、仏教が信仰されています。伝統的なチベット建築の家屋や、マニ車、ゴンパ（寺院）などが点在し、異国情緒あふれる風景が見られます。人々の主な生業は、農業や牧畜ですが、厳しい自然環境のため、生活は決して容易ではありません。特に、冬は雪に閉ざされるため、外部との交流が困難になることもあります。近年では、観光客も訪れるようになり、新たな収入源となっています。

主要な場所

郡都であるドゥナイは、ドルパ郡の中心的な場所であり、行政機関や市場などが集まっています。また、ドルパ郡には、フォクスンド湖という美しい湖があります。フォクスンド湖は、ラムサール条約に登録されており、自然保護区の一部となっています。湖は深い青色をしており、周囲の山々と合わせて素晴らしい景観を作り出しています。観光客にとっても魅力的な場所です。

経済

ドルパ郡の経済は、主に農業、牧畜、そして近年では観光業によって支えられています。農業では、主に麦や豆類などの作物が栽培されていますが、標高が高いため、収穫量は限られています。牧畜では、ヤクや羊などが飼育されており、これらの動物は、食料や衣服、輸送手段として利用されています。観光業はまだ発展途上ですが、フォクスンド湖などの自然や、独特な文化を求めて訪れる人が増えています。

交通

ドルパ郡へのアクセスは非常に困難です。道路網は未発達で、郡内を移動するのも容易ではありません。通常は、小型の飛行機が利用されます。しかし、天候によっては、飛行機が欠航することもあり、アクセスは限られています。そのため、ドルパ郡は、ネパールの中でも秘境の一つとして知られています。

まとめ

ドルパ郡は、ネパール北西部に位置し、自然豊かな地域です。厳しい環境の中で、独自の文化を育んできました。近年、観光業の発展が期待されていますが、交通インフラの整備など、課題も多く残っています。この地域は、ネパールの多様性を象徴する場所の一つです。

参考文献

佐伯和彦『世界歴史叢書 ネパール全史』明石書店、2003年。

外部リンク

Phoksundo Lake | Ramsar

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