ドレスデン包囲戦

ドレスデン包囲戦：七年戦争におけるプロイセンの苦戦

ドレスデン包囲戦は、七年戦争中の1760年7月にプロイセン王フリードリヒ2世がザクセン選帝侯領の首都ドレスデンを包囲した戦いです。この戦いは、七年戦争におけるプロイセンの苦戦を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。

背景：ザクセンを巡るプロイセンとオーストリアの争奪戦

七年戦争初期の1756年、フリードリヒ2世は先制攻撃としてザクセンに侵攻し、ドレスデンを占領しました。しかし、その後プロイセン軍とオーストリア軍は一進一退を繰り返し、1759年9月にはオーストリア軍がドレスデンを奪還。フリードリヒ2世は、再びドレスデンを奪還する機会を窺っていました。

経過：プロイセン軍の包囲と撤退

1760年7月13日、プロイセン軍はフランツ・モーリッツ・フォン・ラツィ率いるオーストリア軍に追跡されながら、ドレスデン周辺に到着しました。プロイセン軍はエルベ川を渡河し、ドレスデンの周辺を制圧して砲台を設置、市内に砲撃を開始しました。この際、フリードリヒ2世は市内の居住地を意図的に狙ったとも言われています。しかし、わずか10日後、フリードリヒ2世はレオポルト・フォン・ダウン率いるオーストリア軍に打撃を与えるべく転進を決意し、ドレスデンの包囲を諦めました。

その後：フリードリヒ2世の評価とドレスデンの被害

ドレスデン包囲戦の後、フリードリヒ2世はシュレージエンに侵攻し、リーグニッツの戦いを繰り広げました。しかし、ドレスデン市への無差別な破壊行為は、フリードリヒ2世の名声をさらに傷つけることとなりました。特に、包囲を解いた後に選帝侯フリードリヒ・アウグスト2世が所有するピルナの庭園を破壊したことは、大きな批判を呼びました。

ドレスデン包囲戦は、1757年のプラハ包囲戦、1758年のオルミュッツ包囲戦に続き、七年戦争中にフリードリヒ2世が諦めざるを得なかった3度目の包囲戦となりました。この事実は、当時のプロイセン軍の置かれた苦しい状況を物語っています。

ドレスデン包囲戦は、七年戦争の一局面を示すだけでなく、当時の戦争における都市への影響、そしてフリードリヒ2世の戦略と評価を考察する上で重要な事例と言えるでしょう。

参考文献
Childs, John. Armies and Warfare in Europe, 1648-1789. Manchester University Press, 1982.
Dull, Jonathan R. The French Navy and the Seven Years' War. University of Nebraska Press, 2005. ISBN 0-8032-1731-5.
* Szabo, Franz A.J. The Seven Years War in Europe, 1757-1763. Pearson, 2008.

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