ドレスナー銀行

ドレスナー銀行の歴史と影響



ドレスナー銀行(Dresdner Bank AG)は、かつてドイツに存在した銀行であり、その設立は1872年に遡ります。この銀行ドレスデンで設立され、当初はエレクトラル・ウールを世界中に輸出していたザクセン王国の首都であったドレスデンの名を冠しています。その設立の背景には、ドイツ・クレディタンシュタルトやアングロ・ドイチェ・バンクなどのいくつかの銀行の支援がありました。ドレスナー銀行は資本金800万ターラー(2400万マルク)で、30人の従業員からスタートしました。

設立にあたっては、カスケル家などが出資し、金融界の様々な機関が関わりました。ドイツ・クレディタンシュタルトは1856年にクレディ・スイスの設立にも関与しており、アングロ・ドイチェ・バンクはロンドンやニューヨークと結びつきの強い銀行でした。このように、ドレスナー銀行は当時の経済状況の中で重要な役割を果たし、特にベルリン支店の拡大により1895年にはロンドンに初の国外支店を開設しました。

1905年にはJPモルガンのコルレスバンクとしての地位を確立し、その後のドレスナー銀行はさらに成長していきました。しかし、1931年にダナート銀行が破綻すると、ドイツ全体の金融情勢が混乱し、ドレスナー銀行自体も国からの救済措置を受けることになりました。ナチス政権下では、ユダヤ系金融機関の吸収やナチス関連プロジェクトへの融資を通じて急成長を遂げました。

第二次世界大戦の勃発後、ドレスナー銀行は占領地での事業拡大から利益を得ましたが、戦争による物的損失も大きく、戦後は支店の多くが閉鎖されることになりました。しかし、ドイツ再統一後には復活を果たし、1950年代にはイスタンブールに代理店を設置、1963年からは外国市場への展開を強化していきました。また、1968年にはニューヨークに証券子会社を開設し、国際金融の世界でも存在感を示しました。

1990年代に入ると、ドレスナー銀行ドイツ国内外での合併や買収を重ね、1995年にはイギリスのクラインオート・ベンソンを買収するなどの戦略を採用しました。2002年からは保険大手アリアンツの完全子会社となり、以降、大幅な人員削減が行われました。最終的に2008年にはコメルツ銀行に買収され、2009年5月11日には消滅するに至りました。

このように、ドレスナー銀行はその設立以来、ドイツの金融市場において重要な役割を果たし、多くの変遷を経験してきました。歴史を通じて、国内外の経済状況や政治的背景に大きく影響を受けながらも、最終的には消えていった銀行の一つとして評価されています。

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