ドロマエオサウルス亜科

ドロマエオサウルス亜科（Dromaeosaurinae）

ドロマエオサウルス亜科は、ドロマエオサウルス科に属する獣脚類の亜科であり、その進化史は中生代の白亜紀に遡ります。最初期のドロマエオサウルス亜科恐竜は前期白亜紀の北アメリカに生息したユタラプトルですが、アフリカ大陸の後期ジュラ紀の地層から発見された未定種の歯が、亜科の起源をさらに遡らせる可能性を示唆しています。

古生物学

ドロマエオサウルス亜科の化石は、主に白亜紀（ベリアシアン期からマーストリヒチアン期）のアジアと北アメリカで発見されています。また、デンマークでの生息も示唆されています。エチオピアで発見された単離歯がドロマエオサウルス亜科のものである場合、その生息年代は後期ジュラ紀のチトニアン期まで遡る可能性があります。

特徴

ドロマエオサウルス亜科は、一般的に小型の獣脚類ですが、アキロバトル、ダコタラプトル、ユタラプトルといった大型の属も含まれます。ダコタラプトルからは羽毛の存在を示す痕跡が確認されており、他の属種も羽毛を持っていた可能性があります。

ドロマエオサウルス亜科の頭骨は、他の亜科と比較して頑丈で箱型をしており、吻部（口吻）は太いです。また、体格も重厚で、スピードよりも力を発揮するのに適していたと考えられます。歯の鋸歯状構造は前縁と後縁で大きさが均等であり、これは前縁の鋸歯が小さい、または存在しないヴェロキラプトル亜科との識別点となります。

Turner et al. (2012) は、以下の特徴に基づいてドロマエオサウルス亜科を定義しました。

完全に鋸歯状構造を持つ歯
垂直に向いた恥骨
恥骨の先端が前後に突出している
上顎骨の頬骨突起
* 腹側から前眼窩窓を見ると背腹方向に広い

分類

ドロマエオサウルス亜科は、1922年にウィリアム・ディラー・マシューとバーナム・ブラウンによって、デイノドン科（現在のティラノサウルス科）の一部として提唱されました。現在では、ヴェロキラプトル、ミクロラプトル、スズメ属、ウネンラギアよりもドロマエオサウルスに近縁なドロマエオサウルス科を含む単系統群として定義されています。

ドロマエオサウルス亜科の系統解析は、属種の位置付けが変動しやすく、明確なコンセンサスは得られていません。Senter et al. (2012) の系統解析では、ユルゴヴキアがアキロバトル、ドロマエオサウルス、ユタラプトルに近縁な派生的ドロマエオサウルス亜科とされました。以下は、ダコタラプトルが2015年に記載された際の系統解析に基づくクラドグラムです。

[クラドグラムの図]

しかし、2019年にカリーとエヴァンスが行った系統解析では、アキロバトルやユタラプトルなど代表的なドロマエオサウルス亜科恐竜はヴェロキラプトル亜科に位置付けられました。

[クラドグラムの図]

ドロマエオサウルス亜科の分類は、今後の研究によってさらに変化する可能性があります。

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