ドロンニング・モード・ランド

ドロンニング・モード・ランドについて

ドロンニング・モード・ランド（ノルウェー語: Dronning Maud Land）は、南極に位置する地域であり、英語ではクイーン・モード・ランドとも呼ばれています。この地域は、南極点を南限とし、東経44度38分から西経20度の範囲に広がっています。ノルウェーにより領有が主張されており、ノルウェーの王妃モードにちなんで名付けられました。

この広大な地域の面積は約250万平方キロメートルで、南極氷床の一部を形成しています。その境界は、新南氷河の末端とスタンコーム＝ウィルス氷河の末端によって定義されています。元々の名称は、ロアール・アムンセンによって東経37度から東経50度の範囲に名付けられたものでしたが、1939年にノルウェーが領有を強く主張するに至り、その範囲が拡大しました。

地域は、主にノルウェー王室の名前に因む地名がつけられており、ホーコン7世やその妻のモード王妃を記念しています。特に、1930年に結婚した王太子夫妻を祝うために、「プリンス・オラフ・コースト」「プリンセス・マーサ・コースト」という名称が命名されました。これらの地名は、王室の人物に由来しているため、地理的な意義だけでなく文化的な価値も持っています。

領有権の主張

ドロンニング・モード・ランドは、1939年1月14日にノルウェーが領有権を主張し、同国の「属領」と位置づけられました。ノルウェーは、この地域の主権を保持し、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド、フランスといった国々と領有権について調整を行っています。しかし、南極条約によって他国からの主張は認められず、領土に関する権利は凍結されている状況です。特に、2015年には無主地と見なされた南方一帯を正式にノルウェー領に併合する発表がありました。

歴史的背景

この地域を最初に探検したのは、1930年に南極の地図を作成するために訪れたヒャルマー・リーセル＝ラルセンです。ロアール・アムンセンは、モード王妃を記念して名付けたその地域にしっかりとした名を付けていましたが、リーセル＝ラルセンの探検によって当初の海岸線はドロンニング・モード・ランドに組み込まれることになります。1939年には、ナチス・ドイツの探検隊がその海域に出現し、欧州の動乱から先手を打つ緊張感がノルウェーの領有主張のきっかけとなりました。

南極観測基地

ドロンニング・モード・ランドには、ノルウェーが設立した恒久基地のトロール基地と夏季のみのトール基地が存在します。さらに、日本も昭和基地、みずほ基地など複数の観測基地を持ち、国際的な南極研究の一環としてこの地域に貢献しています。また、南アフリカやロシア、ドイツなど、多国の観測基地がこの地域に点在し、南極における地球環境の研究やデータ収集が行われています。

このように、ドロンニング・モード・ランドは単なる地理的な場所に留まらず、各国の科学的探求や歴史的背景が交錯する重要な地域なのです。また、その多様な地名はノルウェーの文化や王室の歴史を反映しており、南極地域における国際関係の複雑さも示しています。

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