ドン・ソビエト共和国

ドン・ソビエト共和国（ロシア語: Донская Советская Республика）は、1918年3月23日から5月8日にかけて、ドン軍管州に存在した短命な国家です。この共和国は、ロシア社会主義連邦ソビエト共和国の構成国家の一つとして誕生しました。

建国

1917年から1918年にかけて、この地域ではアレクセイ・カレージン率いる軍が敗北を喫しました。この混乱の中、1918年1月にカメンスカヤ駅でコサック戦線大会が開催され、ドン・コサック軍事革命委員会が発足しました。この委員会は、ドイツ帝国軍とクラーク（富農）による反乱の脅威に対抗するため、同年3月23日にロストフ・ナ・ドヌを首都としてドン・ソビエト共和国の建国を宣言しました。

政権と指導者

人民委員会議議長には、ボリシェヴィキのフョードル・ポッチョールコフが、統治人民委員にはミハイル・クリヴォシュルィコフが就任しました。4月には、第1回労働者・コサック代表ソビエト大会が開催され、ボリシェヴィキと社会革命党左派による中央執行委員会が選出されました。この委員会の議長にはV・S・コヴァリョーフが就きました。

政策と反乱

ドン・ソビエト共和国は、労働者の管理や企業の国有化といった政策を推進しました。しかし、これらの政策は社会の不満を引き起こし、3月下旬から4月上旬にかけて、各地で反ボリシェヴィキの暴動が発生するようになりました。4月16日には、政府の全権が南ロシア非常委員セルゴ・オルジョニキゼが率いる非常防衛参謀部に移されました。これは、事態が深刻化していることを示していました。

戦闘と崩壊

セミョーン・ブジョーンヌィー、クリメント・ヴォロシーロフ、ボリス・ドゥメンコ、ルドリフ・シヴェルス、イオナ・ヤキールらが指揮する軍は、ウクライナ人民共和国軍、ドイツ軍、白軍コサック軍と戦いました。しかし、4月23日から24日にかけて、反革命軍がドン共和国内に侵入し、チェルトコヴォを占領、ロストフ・ナ・ドヌとモスクワを結ぶ鉄道を遮断しました。5月1日にはドイツ軍がタガンログを占領し、5月4日から5日にかけて、ミハイル・ドロズドフスキー軍によるロストフ・ナ・ドヌ攻略は一旦退けられました。しかし、5月8日、ドイツ軍と白軍コサック軍がロストフ・ナ・ドヌを占領し、ドン・ソビエト共和国は事実上崩壊しました。

その後

ドン・ソビエト共和国政府は、その後もツァリーツィン、次いでヴェリコクニャジェスカヤへと移転して活動を続けましたが、9月30日には全ロシア中央執行委員会によって正式に廃止されました。

ドン・ソビエト共和国は、短期間の存在でしたが、その成立から崩壊までの過程は、ロシア内戦初期の混乱と複雑な政治状況を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

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