南ロシア

南ロシアとは

南ロシアとは、広義には「ロシアの南部」を指す地理的な概念です。ロシア語では「Юг Росси́и」と表記され、文字通り「ロシアの南」を意味します。この地域は、歴史的に様々な変遷を辿ってきました。

地理的な定義

1917年以前は、ロシア帝国の地理区分として用いられ、左岸ウクライナ、北カフカース、ヴォルガ川下流域といった広大な地域を含んでいました。具体的には、ベッサラビア県、エカテリノスラフ県、タヴリダ県、ヘルソン県などが含まれていました。

現代のロシア連邦においては、南部連邦管区と北カフカース連邦管区が南ロシアという概念に近いとされています。これらの地域は、ロシアの最南部に位置し、温暖な気候と肥沃な土地が特徴です。

ロシア内戦期の南ロシア

第二義的には、南ロシアはロシア革命後の内戦期に、ドン地方を中心とする地域で成立した自治組織の名称として知られています。1918年、白軍によって建設され、1920年に赤軍によって壊滅させられるまでの短い期間しか存在しませんでしたが、この地域の歴史において重要な役割を果たしました。この自治組織は、ドン軍管州を中核としていました。

南ロシア軍の統治

南ロシアは、軍事独裁体制であり、M・V・アレクセーエフ将軍、L・G・コルニーロフ将軍、A・I・デニーキン将軍、P・N・ヴラーンゲリ将軍といった将軍たちが最高権力者を務めました。民生部門の統治機関としては、1918年8月31日にエカテリノダールで義勇軍総司令官付属特別委員会が組織され、その後、1919年12月30日にノヴォロシースクで南ロシア軍総司令官付属政府、1920年3月には南ロシア政府へと変遷しました。

南ロシアの支配領域と課題

南ロシアが全盛期を迎えた際には、その支配領域は左岸ウクライナ、北カフカース、クリミア半島、ヴォルガ川下流域にまで拡大しました。しかし、その支配は決して盤石ではありませんでした。南ロシア政府は、コサック共和国や山岳民族の分離主義運動、君主制主義者や社会革命党員との闘争に常に直面していました。

外交面では、連合国への支持を表明しましたが、敵対勢力はボリシェヴィキだけでなく、ネストル・マフノ率いるウクライナ革命蜂起軍や、ウクライナ人民共和国のディレクトーリヤ軍、グルジアの独立勢力など多岐にわたりました。

南ロシアの終焉

戦局が悪化するにつれて、白軍は南ロシアから追われ、クリミア半島に立て籠もることになりました。政府組織は、1920年にセヴァストーポリで組織されたロシア南部政府に引き継がれましたが、最終的に赤軍によって壊滅させられました。

関連情報

この項目の理解を深めるために、以下の関連項目も参照してください。

南ロシア軍
南ロシア軍の軍事・行政構成

南ロシアは、地理的な概念と、内戦期の自治組織という二つの側面を持つ複雑な歴史的地域です。この地域の歴史を理解することで、ロシアの歴史や政治情勢に対する理解を深めることができるでしょう。

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