ドン・ネルソン

ドン・ネルソン：革新的な戦略でNBAを彩った名将

ドナルド・アーヴィド・"ドン"・ネルソン（Donald Arvid "Don" Nelson、1940年5月15日 - ）は、アメリカ合衆国出身の元バスケットボール選手、そして名ヘッドコーチです。特に、ゴールデンステート・ウォリアーズのヘッドコーチとしての活躍が広く知られています。

選手時代には、ボストン・セルティックスの一員として、1960年代後半から70年代前半にかけて5度のNBAチャンピオンシップ制覇に貢献しました。コーチとしては、ミルウォーキー・バックスを率いて1980年代に黄金時代を築き上げ、その手腕を発揮しました。

選手としてのキャリア

アイオワ大学時代からその才能を発揮し、平均21.1ポイント、10.9リバウンドという素晴らしい成績を記録しました。1962年のNBAドラフトでシカゴ・ゼファーズから指名を受けプロ入り。その後、ロサンゼルス・レイカーズを経て、1966年からはボストン・セルティックスで10年間プレーし、5度の優勝を経験しました。

コーチとしての輝かしい足跡

1976年に現役を引退後、ミルウォーキー・バックスのゼネラルマネージャー兼ヘッドコーチに就任。ここで、ネルソンは「ポイントフォワード」という革新的なシステムを導入し、バックスをプレーオフの常連チームへと変貌させました。11シーズンで7度の50勝以上を達成し、NBA最優秀コーチ賞を2度受賞しています。

その後、ゴールデンステート・ウォリアーズ（1988-1995年）、ニューヨーク・ニックス（1995年）、ダラス・マーベリックス（1997-2005年）と、数々のチームでヘッドコーチを歴任。ウォリアーズ時代には、後に名将となるグレッグ・ポポヴィッチをアシスタントコーチとして指導しました。1994年には、アメリカ代表チームを率いて世界選手権で優勝という栄冠も手にしています。

マーベリックスでは、スティーブ・ナッシュ、ダーク・ノヴィツキーといったスター選手を擁し、チームを2000年代前半のプレーオフ常連へと押し上げました。

2006年から2010年まで再びウォリアーズのヘッドコーチを務め、その手腕を遺憾なく発揮しました。1996年には、NBA史上最も偉大なコーチ10人の1人に選ばれています。

ラン・アンド・ガンと奇策

ネルソンの指導スタイルは、「ラン・アンド・ガン」と呼ばれる速攻を主体とした攻撃的なものでした。また、NBAに馴染みのない選手や海外出身の選手を発掘し、その才能を開花させることにも長けていました。シャルーナス・マルチルリョーニス、ラトレル・スプリーウェル、スティーブ・ナッシュ、ダーク・ノヴィツキーなどは、ネルソンの指導によってスター選手へと成長しました。

また、相手チームのフリースローが苦手な選手に対し、意図的にファウルを仕掛けてフリースローを与える「ハック・ア・シャック」と呼ばれる奇策を用いたことでも知られています。

成績と受賞歴

FG成功率リーダー：1回 (1975年)
NBA最優秀コーチ賞：3回（1983年、1985年、1992年）
* NBAトップ10偉大なコーチ：1996年

ドン・ネルソンは、その革新的な戦略と選手育成の手腕で、NBAの歴史に名を刻んだ名将です。

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