ドージコイン

ドージコイン（Dogecoin）とは

ドージコイン（Dogecoin、コード：DOGE、シンボル：Ð）は、2013年12月6日にソフトウェアエンジニアのビリー・マーカスによって開発された暗号通貨です。インターネットミーム「ドージ（Doge）」の柴犬をモチーフにしており、当初は「ジョーク通貨」として誕生しました。

しかし、そのユニークなコンセプトとコミュニティの活発な活動により、ドージコインは急速に人気を集めました。専用のオンラインコミュニティが形成され、ソーシャルメディアを中心に広まりました。2014年1月には時価総額が6000万ドルに達し、2021年5月には900億ドル（約10兆円）にまで急増しました。

ドージコインは、2015年中頃までに1000億コインが流通しており、その後も毎年52億5600万コインが追加されています。主流の商用アプリケーションは少ないものの、インターネット上でのチップシステムとしての利用が広がっています。ユーザーは、興味深いコンテンツの提供者に対してドージコインをチップとして贈ることができます。

歴史

ドージコインは、ビリー・マーカスとジャクソン・パルマーによって開発されました。彼らは、ビットコインよりも幅広い層にリーチできるP2Pデジタル通貨を目指しており、ドージコインを他の暗号通貨の論争から遠ざけたいと考えていました。

2013年12月6日にリリースされたドージコインは、最初の30日間で公式サイトへの訪問者が100万人を超えました。ジャクソン・パルマーがドメインを取得し、ロゴとコミック・サンズのテキストを散りばめたサイトを作成しました。それを見たマーカスがパルマーと連絡を取り、通貨の開発が始まりました。

ドージコインは、既存の暗号通貨「Luckycoin」をベースにしており、ブロックのマイニング報酬がランダムに設定されていました。その後、2014年3月には静的なブロック報酬に変更されました。Luckycoinはライトコインをベースにしており、プルーフ・オブ・ワークアルゴリズムにスクリプト技術を使用していました。これにより、ビットコインのマイニング設備が利用できなくなり、専用のFPGAやASICデバイスが必要となりました。

2013年12月19日、ドージコインの価格は72時間で300%近く高騰し、1日あたり数十億のドージコインが取引されました。この急騰は、中国が人民元をビットコインに投資することを禁じたことで、ビットコインや他の暗号通貨が下落した時期に起こりました。しかし、3日後には大規模なマイニングプールがポジションを売却したため、ドージコインは80%下落しました。

2013年12月24日、インド準備銀行はドージコインや他の暗号通貨のリスクについて警告しました。翌日には、オンラインウォレットプラットフォーム「Dogewallet」へのハッキングにより、数百万のコインが盗まれる事件が発生しました。ハッカーはプラットフォームのファイルシステムにアクセスし、送受信ページを変更してすべてのコインを特定の静的アドレスに送りました。この事件により、ドージコインに関するツイートが急増し、最も言及されたアルトコインとなりました。その後、コミュニティは「SaveDogemas」というイニシアチブを立ち上げ、ウォレットの資金を失った人々に寄付を行い、失われたコインをほぼ完全に補填しました。

2014年1月には、ドージコインの取引量がビットコインや他の全ての暗号通貨の合計を上回る時期もありました。2015年1月25日には、ドージコインの時価総額は1350万ドルでした。同年4月、ジャクソン・パルマーは暗号通貨コミュニティから「延長休暇」を取ると発表しました。

2017年から2018年初頭の暗号通貨バブルでは、ドージコインは2018年1月7日に0.017ドルまで上昇し、時価総額は約20億ドルに達しました。

2020年7月には、TikTokでのトレンドによって価格が急上昇しました。2021年1月には、イーロン・マスクの推奨やGameStopのショートスクイーズなどの影響で、24時間で800%以上上昇し、0.07ドルに達しました。

2021年2月には、イーロン・マスク、スヌープ・ドッグ、ジーン・シモンズなどの「ドージ推し」のツイートにより、0.08ドルと最高値を記録しました。2021年3月には、ダラス・マーベリックスがチケットや商品をドージコインで購入可能にすると発表し、ドージコインの主要な事業者となりました。

2021年4月には、コインベースの直接上場をきっかけに、ドージコインも急騰し、初めて0.1ドルに到達しました。4月16日には0.45ドルまで上昇し、時価総額は500億ドルを超え、暗号通貨の中で5番目に価値の高い通貨となりました。しかし、その後、取引プラットフォーム「ロビンフッド」のシステム障害や市場の過熱感から、価格変動が激しくなりました。

2021年5月5日には、ドージコインの価格は0.50ドルを超え、1年間で20000%以上上昇しました。

2021年5月8日には、イーロン・マスクがサタデー・ナイト・ライブに「ドージファーザー（ドージの父）」として出演しましたが、その直後に価格が急落しました。

2021年5月9日には、スペースXがドージコインで決済された月輸送ミッション「DOGE-1 Mission to the Moon」を計画していることが発表されました。

2023年4月4日には、イーロン・マスクが運営するTwitterのロゴがドージコインのシンボルである柴犬の画像に変更されましたが、数日後には元のロゴに戻りました。

資金調達活動

ドージコインのコミュニティは、チャリティーやその他の取り組みへの募金活動に積極的です。

2014年冬季オリンピックでは、ソチオリンピックに出場するジャマイカのボブスレーチームへの資金援助として、5万ドルを調達しました。また、他のソチ五輪選手への資金調達も行われました。

「かぼす基金」は、ドージコインのシンボルである柴犬「かぼす」の飼い主が立ち上げた動物保護活動を支援する基金です。

「Doge4Water」は、ケニアのタナ川流域で井戸を建造するための寄付金を集めるプロジェクトで、4000人以上の寄付者から合計4千万ドージコインが集まりました。

NASCARでは、2014年3月25日にドライバーのジョシュ・ワイズのスポンサーとなるために、6780万ドージコインが調達されました。ワイズはドージコインのロゴが入った車でレースに出場し、コミュニティへの感謝の意を示しました。

使用と取引所

ドージコインは、主にオンライン取引所でDOGE/BTCやDOGE/LTCなどのペアで取引されています。

また、ソーシャルメディアのユーザーが興味深いコンテンツを提供した人にチップとしてドージコインを贈るシステムなど、インターネットチップとしての利用が広がっています。

RedditやTwitterなどのオンラインコミュニティでは、ドージコインと引き換えに物品の取引が行われ、情報共有も活発に行われています。ドージコインは、住宅売買やポルノ業界、ポーカー業界などでも利用されています。

天気予報アプリ「Doge Weather」の制作者は、ウェブサイト維持のためにドージコインでのチップを求めていました。

「Dogetipbot」という暗号通貨取引サービスがRedditやTwitchで利用されていましたが、2017年に開発者が破産を宣言し、サービスは廃止されました。これにより、多くのユーザーがコインを失うことになりました。

技術とDeFi

ドージコインは、DeFi（分散型金融）ネットワークにもアクセス可能で、Ren Projectによりイーサリアムのブロックチェーンで使用できる「RenDOGE」が作成されました。

DeFiにリンクしたコインは、分散型アプリケーション（dApp）を利用して、Uniswapなどの分散型取引所（Dex）で取引や売買を行います。

ドージコインのブロックタイムは1分で、ライトコインの2.5分よりも短いです。

マイニングパラメーター

ドージコインのマイニングには、雇用者や大学のコンピュータが利用されていた事例があります。

通貨供給

ドージコインはデフレ通貨であるビットコインとは異なり、供給量に上限がないため、インフレ通貨となっています。2014年2月には、供給量の上限がないことが発表されました。

批判

ドージコインはジョークとして始まったため、主流メディアや金融専門家からは真剣に受け止められないことがあります。

また、ドージコインの多くが少数のウォレットに集中していることが指摘され、その分散性に懸念が示されています。

脚注

* ドージコインの公式ウェブサイトはこちらです。

この文章は、ドージコインの概要、歴史、資金調達活動、使用例、技術、批判点などを総合的に解説しています。ドージコインに関心のある方々にとって、理解を深める一助となることを願っています。

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