CD-DA

CD-DA（コンパクトディスクデジタルオーディオ）

CD-DA（Compact Disc Digital Audio）は、音楽や音声データをデジタル形式で記録するための標準規格です。この規格は1980年にフィリップスとソニーが共同で制定し、1982年にはビリー・ジョエルのアルバム『ニューヨーク52番街』を皮切りに商業ソフトが販売されました。これにより、CD-DAはデジタルオーディオの先駆けとしての地位を確立しました。

CD-DAの特徴

CD-DAの大きな利点は、アナログオーディオとの比較において、ほぼメンテナンスフリーである点です。プレーヤーにディスクをセットするだけで再生が可能であり、ワウフラッターやノイズが存在しないため、クリアな音質で楽しむことができます。人間が聞こえる音域（約20Hz〜20kHz）をカバーする能力を持ち、最大12cmの大きさを持つディスクは、プレーヤーを小型化することも容易にしました。

そのため、CD-DAはアナログレコードに取って代わり、世界中で標準的な音楽供給メディアとして急速に普及しました。さらに、この規格は後のデジタルオーディオシステムにも大きな影響を与えました。

音楽データの管理とコピー

CD-DAの登場当初は、ディスクに記録されたデジタル音声データのコピー手段が存在しませんでしたが、1990年代後半にパソコンの普及とともにリッピングツールが登場しました。CD-DAの著作権保護機能はSCMSフラグのみに依存していたため、無制限にコピーが可能でした。このため、強力なコピー保護が必要とされ、「コピーコントロールCD（CCCD）」などの新たな規格が導入されましたが、音質劣化や再生機への不具合を引き起こし、短期間で市場から姿を消しました。

音質向上技術の進化

CD-DAが形成された以降も、音質向上を目指した取り組みは続けられています。例えば、「高音質CD」と呼ばれる製品や、ハイレゾ音源を取り入れた音楽CDの開発が行われました。これにより、アップサンプリング技術を用いることで、従来のCD音源でも高品質な再生を実現できるようになりました。

現在のCD-DAの状況

音楽CDとして流通するディスクの多くがCD-DA規格に準拠していますが、市場の生産量は1998年をピークに減少しています。インターネットを介した音楽配信サービスの普及に伴い、CDの市場は縮小傾向にありますが、CD-DAは未だ音声コンテンツを供給する重要な規格の一つと位置付けられています。

仕様について

CD-DAの規格は、通常「レッドブック」として知られる文書に基づいています。この文書は機密であり、契約者以外には公開されていませんが、IEC 60908の標準として定義されています。CD-DAの主な仕様は以下の通りです。

• - データ形式: リニアPCM
• - サンプリング周波数: 44.1 kHz
• - ビットレート: 1411.2 kbps
• - 量子化ビット数: 16 bit signed integer
• - チャンネル数: 2.0 chステレオ

また、最大99トラック収録可能で、各トラックに最大99インデックスを設けることができます。CD-DAの持つサブチャンネル情報は、スムーズな再生を促すために重要な役割を果たします。

現代のCD-DAの適応と将来

CD-DAは通常のオーディオCDで使用されるほか、ゲームソフトのBGMなどにおいてもその利便性が評価されてきましたが、技術の進化とともに新たなメディアが台頭しています。それでもなお、音楽配信や細密音質が求められる現代においても、CD-DAは依然として重要な位置を占めています。未来においても音楽メディアとしてのCD-DAの発展が期待されています。

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