入隅迫持

入隅迫持とその構造的特徴

入隅迫持（いりすみせりもち）またはスキンチ（squinch）は、主に四角形の平面を円形に近づけるために用いられる建築デザインの一つです。この技術は、空間の四隅に設置された直交する壁の交点を接続する部材を使用しており、その上に八角形や球面形状のドーム屋根を支持します。

入隅迫持の構造

入隅迫持は、四角形の部屋の上にドームを取り付けるための原始的な構造技法です。この技術は、後により完璧な形状を持つ穹隅へと進化しました。入隅迫持は、角を形成する二つの壁の上に斜めに石を渡したり、擬似アーチ状に石を配置していくことで設計されます。この結果、建物の屋根は四隅から円形へとスムーズに接続されるのです。

イスラーム建築における入隅迫持

特にイスラーム建築においては、入隅迫持の上に「ムカルナス」と呼ばれる装飾が施されています。ムカルナスは鍾乳石のような形状を持ち、構造体をよりエレガントに見せるために使われます。この種の装飾は、入隅迫持を目立たなくし、全体としての美しさを引き立てる重要な要素です。イランの建築物に特に多く見られ、イスラーム芸術の特徴を色濃く反映しています。

ヨーロッパにおける利用例

入隅迫持はまた、ヨーロッパの教会建築にも使用されています。例えば、シチリア島のパレルモにある「San Cataldo」という教会では、3つのドームがあり、それぞれが4つの二重になった入隅迫持によって支えられています。この教会は12世紀に建設され、その際に入隅迫持の技術が適用されていることがわかります。

このように、入隅迫持はさまざまな文化や地域で異なるスタイルや装飾が施されることにより、一つの基本的な技術が多様な変化を遂げることを示しています。これにより、入隅迫持は単なる建築技術を超え、建築史の中で重要な役割を果たしているのです。

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