ドーン (探査機)

ドーン（Dawn）: NASAの無人探査機

ドーンは、アメリカ航空宇宙局（NASA）が設計・運用する無人探査機であり、主にメインベルトに位置する準惑星ケレスと小惑星ベスタをターゲットにしています。この探査機はNASAのディスカバリー計画に含まれる重要なミッションの一つです。

ミッションの目的

ドーンのミッションは、太陽系の形成過程を解明することです。これは、太陽系初期の状態を保存していると考えられるケレスとベスタという二つの原始的天体を調査することに基づいています。特に、これらの天体の違いを分析することで、岩石惑星の形成のメカニズムについて知識を深めることが目指されています。興味深いことに、ドーンの名称は、太陽系の始まりや物事の誕生を意味しており、探査の目的に由来しています。

ケレスは「冷たく湿った」環境を経験し、地下水が存在していたことが示唆されています。一方で、ベスタは内部にマントルや核を持ち、また火山活動の痕跡が見られることから「熱く乾いた」状態で形成されたと考えられています。この違いから、ケレスはG型小惑星に分類され、ベスタはV型小惑星に分類されるなど、異なるスペクトル特性を持っています。

開発と技術

ドーンの探査計画は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の宇宙科学者クリストファー・T・ラッセルの指導のもとで進められました。この探査機には、ディープ・スペース1号で使われたことのあるイオン推進システム、3基のNSTAR（キセノンを用いたイオンスラスタ）が搭載されています。NASAのジェット推進研究所（JPL）によってイオンエンジンが提供され、探査機の飛行システムが開発されました。

観測機器としては、ドイツ航空宇宙センターがフレーミングカメラを、イタリア宇宙局がマッピング分光計を、アメリカエネルギー省のロスアラモス国立研究所がガンマ線分光計を準備しました。

打ち上げ

ドーンは、2007年の9月27日に成功裏に打ち上げられました。打ち上げに至るまでの道のりは波乱に富んでおり、当初は2006年に予定されていましたが、様々な要因で何度も延期されました。技術的課題や予算の問題があったため、セッションが一度中止されることもありましたが、最終的には打ち上げが実現しました。ドーンは、打ち上げ後に地球を離れ、小惑星帯へ向かう航行を開始しました。

探査計画の進行

探査機は2008年に初めて小惑星帯に突入し、2009年には火星のスイングバイを実施しました。その後、数年にわたり、ベスタの観測を行いました。2011年にはベスタの周回軌道に到達し、数回にわたって高度を変えながら各種観測を実施しました。2012年にはベスタを離れ、次の目的地であるケレスに向けて出発し、2015年にケレスに到着しました。

最終的に、ドーンは2018年10月31日に通信を行えなくなり、姿勢制御用の燃料が枯渇したことが原因とされています。ドーンは、ケレスを汚染しないように、今後少なくとも50年以上、その軌道上に留まり続ける予定です。これにより、ドーンは果たして人類史上初めて小惑星帯に半永久的に留まる人工物となりました。

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