ナイジェル・ローソン

ナイジェル・ローソン：ブレイビーのローソン男爵

ナイジェル・ローソン（Nigel Lawson, Baron Lawson of Blaby）は、1932年3月11日にロンドンのハムステッドで裕福なユダヤ人家庭に生まれた。一代貴族であり、保守党に所属する政治家である。彼は料理研究家ナイジェラ・ローソンの父でもある。大学はオックスフォード大学クライスト・チャーチを卒業し、卒業後はジャーナリストとしてのキャリアを歩み始める。1956年から1960年には『フィナンシャル・タイムズ』に勤務し、その後『サンデー・テレグラフ』の編集長や『スペクテイター』誌の編集長などを務めた。

政治家としての歩み

1974年にブレイビー選挙区から保守党の下院議員として選出され、その後1979年から1981年には財務担当政務次官、1981年から1983年までエネルギー省の大臣を歴任した。そして1983年からは財務大臣として、マーガレット・サッチャー政権のもとで経済改革を主導した。特に、規制緩和や民営化を進め、1988年には所得税の最高税率を60%から40%へと引き下げるなどの政策を実施した。このような経済政策により、サッチャーは彼を独創的な経済発案者と評した。

ローソンはまた、1989年にサッチャー政権を離れるまで、サッチャリズムの象徴的存在となり銀行や公共サービスの民営化を推進したが、一方で人頭税の導入には反対した。彼は1992年に一代貴族として勲爵し、貴族院議員の一員となった。

電力会社の民営化

サッチャー政権下では多くの産業が民営化され、その中でも電力会社の民営化は特に大きな課題であった。1983年に提出された電力産業への競争原理導入法案は、スコットランドでの効果が薄く、さらには原子力発電の存在による複雑さが民営化の進行を阻む要因となった。サッチャー自身は、原発の重要性を認識しつつあり、電力会社の競争を確保するためには、より多くの企業へ分割することが必要だと考えていたローソンの意見とも意見を異にしていた。

最終的に電力部門は2つに分割される方針が決定されたが、原子力発電に関しては国営を維持することとなった。これに関してはサッチャーの経済アドバイザーらがコスト問題を引き合いに出して慎重な姿勢を示していた。

EU懐疑論

さらにローソンは、2015年時点でイギリスのEU離脱運動における重要な人物としての地位を確立した。彼は、EU法の英国法優位性を否定し独自の貿易協定の交渉開始や移民受け入れの制限を主張した。特に、「緊密化していく欧州連合」に対抗する姿勢を強く示していた。

ローソンは、EU離脱を問う国民投票の日程が決定された後にデービッド・キャメロン首相に対し、閣僚によるEU離脱キャンペーンの実施を求めた。

結語

ナイジェル・ローソンはその政治家人生を通じてイギリスの経済政策や欧州連合に対するスタンスを形成し続け、多くの影響を与えた人物である。彼の経歴は、保守党政権下における重要な改革とともに、現代のイギリス政治における重要な要素として記憶に残ることだろう。

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