ナイト・オブ・ザ・スカイ

ナイト・オブ・ザ・スカイ：フランス版トップガン、空の騎士たちの物語

2005年公開のフランス映画『ナイト・オブ・ザ・スカイ』（原題：Les Chevaliers du ciel）は、フランス空軍の全面協力を得て制作された、臨場感溢れる航空アクション映画です。漫画『タンギーとラヴェルデュール』シリーズを原作とし、その迫力ある空中戦と人間ドラマから「フランス版トップガン」とも呼ばれています。

徹底したリアリティと迫力ある映像

本作は、そのリアリティを追求した制作過程が大きな特徴です。航空機の翼下にカメラを取り付けるなど、工夫を凝らした撮影手法によって、息を呑むような臨場感あふれる映像が実現しています。アクションシーンでは、廃棄予定だったミラージュIIIをミラージュ2000に見立てて爆破するなど、大胆な演出も用いられています。

原作漫画と映画の繋がり

映画の原作は、1959年から続く人気漫画『タンギーとラヴェルデュール』シリーズです。二人の主人公、タンギーとラヴェルデュールの活躍を描いたこのシリーズは、欧米諸国で長年に渡り愛読され、1960年代と1980年代にはテレビアニメ化もされています。映画の原題『Les Chevaliers du ciel』（空の騎士たち）は、このテレビシリーズで使われたタイトルを受け継いだものです。

ストーリー：名誉と友情、そして国家の陰謀

ファーンボロー国際航空ショーを舞台に、突如としてミラージュ2000が失踪する事件が発生。マルチェリ大尉とヴァロワ大尉（通称セブ）が緊急出撃し、失踪したミラージュを発見しますが、それは想像を絶する事件の始まりに過ぎませんでした。

彼らは、防空テスト任務中に「失踪」扱いされていた僚機を、命令を無視して撃墜してしまいます。その事実を知った特殊任務飛行隊からの勧誘を拒否した二人は、飛行制限を受け、米国人女性パイロットの訓練を任されることに。訓練生には、魅力的なへジェットと、過去にマルチェリと恋仲にあったキャスという、個性豊かな女性パイロットがいました。

その後、ベルトラン隊長による独断で、武器商人にフランス戦闘機の優位性を示すためのキャノンボール・レースへの参加が決定。マルチェリの撃墜判断は的確だったにも関わらず、ベルトランは彼を除隊させるため証拠を捏造しようとします。コステという官僚はマルチェリを救おうとしますが、軍法会議では捏造された証拠が採用され、マルチェリとセブは除隊を余儀なくされます。

除隊後、航空会社への就職を断られ続けた二人は、リゾート地で遊覧飛行のパイロットとして働いていましたが、平穏な日々は長く続きません。キャノンボール・レースへの参加を決意したマルチェリとセブ、そして元同僚のへジェットとキャスは、ミラージュ3機でレースに挑みます。

しかし、レース中に給油妨害を受け、捕虜となる事態に。仲間のへジェットは殺され、キャスも連れ去られてしまいます。マルチェリとセブは、窮地を脱しフランスへ帰還、名誉を回復し軍へ復帰します。しかし、彼らの戦いはまだ終わっていませんでした。残された単座機がパリ近郊に運ばれていることを知った二人は、欧州サミット開催中のパリ上空へと飛び立ちます。

キャストと登場機材

映画には、フランス空軍の最新鋭機であるミラージュ2000-5をはじめ、エアバスA340、C-135、E-3、C-160、アルファジェットなど、様々な航空機が登場します。これら実機を駆使した迫力満点の空中戦は、本作の見どころの一つです。

まとめ：空への情熱と友情を描いた傑作

『ナイト・オブ・ザ・スカイ』は、華麗な空中戦だけでなく、パイロットたちの友情、葛藤、そして国家の陰謀といった人間ドラマも深く掘り下げた作品です。実写にこだわった迫力ある映像、そして緻密なストーリー展開は、航空アクション映画ファンのみならず、多くの観客を魅了するでしょう。

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