ナイン・メンズ・モリス

ナイン・メンズ・モリス：古代ローマから現代まで愛されるボードゲーム

ナイン・メンズ・モリスは、紀元前後のローマ帝国時代に誕生したとされる、世界中で親しまれてきた2人用ボードゲームです。英語ではNine Men's Morris、Millなど、多くの別名を持ち、地域や時代によって異なる呼び名で楽しまれてきました。日本においては「石並取」という類似のゲームが存在したという記述もありますが、完全に同一のものではないようです。

ゲームのルール

ナイン・メンズ・モリスは、24個の点が格子状に配置された盤面を用います。各プレイヤーは9個のコマ（通常は白と黒）を持ち、3つの段階でゲームが進みます。

第1段階：コマの配置

プレイヤーは交互に空いている点にコマを配置します。縦または横に自分のコマを3つ並べると「ミル」が完成し、相手の駒を1つ盤上から取り除くことができます。すべての駒を配置し終えると、第2段階に移行します。

第2段階：コマの移動

この段階では、プレイヤーは自分のコマを隣接する空いている点に移動させます。ミルが完成した場合は、同様に相手の駒を取り除くことができます。ミルを崩して再構築することで、連続して相手の駒を取り除く戦略も可能です。一方のプレイヤーの駒が3つまで減ると、第3段階に移行します。

第3段階：フライング

駒が3つになったプレイヤーは、「フライング」と呼ばれるルールが適用されます。このルールでは、コマを隣接する点だけでなく、空いている点であればどこにでも移動させることができます。このルールは、劣勢になったプレイヤーが挽回するための救済措置として導入されましたが、文献によっては追加ルールとして扱われている場合もあります。

戦略と変形ルール

ナイン・メンズ・モリスでは、ゲーム開始時のコマ配置が重要です。盤面にコマを分散させることで、ミルを早期に形成するだけでなく、相手のミル形成を妨害することも可能です。理想的な配置は、1つのコマが複数のミルに関与し、毎ターン相手の駒を取り除けるような配置です。

ナイン・メンズ・モリスには、いくつかの変形ルールが存在します。

スリー・メンズ・モリス: 3×3または2×2の盤面を使用し、各プレイヤーが3つのコマを持つシンプルな変形です。
シックス・メンズ・モリス: ナイン・メンズ・モリスの盤面から外側の正方形を除いた盤面を使用し、各プレイヤーが6つのコマを持ちます。フライングルールはありません。
* トゥエルブ・メンズ・モリス: 盤面に斜めの線が追加され、各プレイヤーが12個のコマを持ちます。南アフリカではMorabarabaと呼ばれ、競技として行われています。

歴史と起源

ナイン・メンズ・モリスの起源は定かではありませんが、紀元前1400年頃のエジプトの遺跡に似たゲーム盤が見つかったという説があります。また、西暦8年頃のオウィディウスの詩にも言及されていることから、ローマ時代には広く普及していたと考えられます。中世イギリスでは特に人気があり、教会の座席や柱などにゲーム盤が刻まれている例が多く残されています。ゲームの名称「モリス」の語源は、モリスダンスやムーア人との関連性が指摘されていますが、ラテン語の「merellus」（カウンターやゲームのコマ）に由来する説もあります。

まとめ

ナイン・メンズ・モリスは、シンプルなルールながら奥深い戦略性を持つ、長く愛されてきたボードゲームです。その歴史、ルール、変形、関連ゲームを知ることで、より深くこのゲームを楽しむことができるでしょう。古き良きゲームを、現代でも楽しんでみてはいかがでしょうか？

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