ナゴヤ球場正門前駅

ナゴヤ球場正門前駅について

ナゴヤ球場正門前駅は、愛知県名古屋市中川区にかつて存在した鉄道駅で、東海旅客鉄道（JR東海）が運営していました。この駅は名古屋港線の臨時駅として設置され、ナゴヤ球場へのアクセス向上を目的にしていました。1987年から1994年までの約7年間の運営期間中、この駅は多くの野球観戦者の便宜を図り、特に大きなイベントや試合の日には多くの利用客で賑わいました。

設置の経緯と特徴

ナゴヤ球場正門前駅は、ナゴヤ球場のすぐ近くに位置し、徒歩1分の距離にあり、球場へのアクセスが非常に便利でした。駅のプラットフォームは6両編成の列車に対応できる長さを持ち、名古屋鉄道のナゴヤ球場前駅から球場へは徒歩で10分かかることを考えると、非常に利便性が高い立地だったと言えます。

当駅行きの列車は、名古屋駅から中央本線経由で運行されました。したがって、名古屋駅の発車標には、ナゴヤ球場正門前駅行きの列車が表示されていました。この駅は臨時駅であったため、プラットフォームの構造は簡素で、JRが臨時運行するために設けたものでした。また、乗客が行きは名鉄を利用し、帰りはJRを使うことにも対応して、簡易的な切符売り場が設置されました。

運賃体系も特徴的で、名古屋駅からは140円でアクセスでき、当時名古屋駅から140円で行ける常設駅は存在しませんでした。このため、名古屋駅の券売機にはナゴヤ球場正門前駅の専用ボタンが設けられ、営業日のみ使用されていました。

歴史と運営

ナゴヤ球場正門前駅は1987年7月1日に開業しました。開業当初から、試合開催日に特急や急行列車が臨時で停車することになり、多くの観客を運ぶこととなりました。試合の開始前や終了後は、名古屋駅との一方通行での輸送が行われ、列車は観客の流れに合わせて運行されました。初日の運行数は5本からスタートし、観客の需要に応じて運行頻度は調整されました。

しかし、名古屋ドームの建設が進む中、集客力が期待できると判断し、JR東海は1995年に本線の尾頭橋駅を新設することを決定しました。これにより、ナゴヤ球場正門前駅はその役割を終え、最終営業日は1994年10月8日、セ・リーグ制覇に繋がる重要な試合、いわゆる「10.8決戦」の日でした。この日の観客数は非常に多く、駅廃止の際には式典も行われました。

廃駅後の状況

ナゴヤ球場正門前駅が廃止された後、その跡地は駅名板が掛けられていたところに、尾頭橋駅への案内表示に変わりました。また、廃駅後のホーム部分は歩行者や軽車両が通行できる踏切へと変更され、地域の交通インフラに組み込まれています。さらに、東海道新幹線の高架下には、駅設置当時の名残として野球選手を模した絵が残されており、かつての賑わいを示しています。

このように、ナゴヤ球場正門前駅は短い間でしたが、多くの観客に利用され、名古屋の野球文化における重要な存在として記憶されています。

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