ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 (2006年)

2006年の映画作品を対象とした第78回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の発表が、2006年12月6日に行われました。授賞式は翌2007年1月9日に開催され、各部門の受賞者が表彰されました。

最も権威ある賞である作品賞には、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』が輝きました。この作品は、第二次世界大戦における硫黄島の戦いを、日本軍とアメリカ軍の両方の視点から描いたもので、その高い評価が世界的に認められました。

作品賞のノミネート作品にも、多くの話題作が名を連ねていました。例えば、様々な場所で同時進行する物語が交錯する『バベル』、レオナルド・ディカプリオ主演の『ブラッド・ダイヤモンド』、マーティン・スコセッシ監督による犯罪ドラマ『ディパーテッド』、そしてメグ・ライアン主演のファッション業界を描いたコメディ『プラダを着た悪魔』などです。他にも、クリント・イーストウッド監督によるもう一つの戦争映画『父親たちの星条旗』、歴史を舞台にしたヒューマンドラマ『ヒストリーボーイズ』、個性豊かな家族のロードムービー『リトル・ミス・サンシャイン』、そして社会風刺の効いた『あるスキャンダルの覚え書き』といった多様なジャンルの作品が、トップ10に選出されました。さらに、『The Painted Veil』もノミネートされ、その年の映画界を代表する作品群が揃っていました。

外国語映画賞には、スペイン映画『ボルベール〈帰郷〉』が選ばれました。ペドロ・アルモドバル監督によるこの作品は、独特の世界観と美しい映像で高い評価を得ていました。トップ5には、中国の『王妃の紋章』、アルゼンチン他合作の『デイズ・オブ・グローリー』、メキシコの『パンズ・ラビリンス』、そしてカナダの『ウォーター』がノミネートされました。

ドキュメンタリー映画賞は、アル・ゴア元アメリカ副大統領による地球温暖化問題に関するドキュメンタリー映画『不都合な真実』が受賞しました。この作品は、環境問題への意識を高める上で大きな役割を果たし、世界的な話題となりました。トップ5には、『バーチ通り51番地 理想の両親が隠した秘密』、『Iraq In Fragments』、『ディクシー・チックス シャラップ&シング』、『Wordplay』がノミネートされました。

インディペンデント映画賞は、『ドリームズ・カム・トゥルー』、『ボビー』、『輝く夜明けに向かって』、『敬愛なるベートーヴェン』、『シティ・オブ・ドッグス』、『ハーフネルソン』、『幻影師アイゼンハイム』、『リターン・トゥー・マイ・ラヴ』、『シェリーベイビー』、『素敵な人生のはじめ方』、『サンキュー・スモーキング』の11作品がノミネートされ、競争が繰り広げられました。

俳優部門では、主演男優賞に『ラストキング・オブ・スコットランド』で圧倒的な演技を見せたフォレスト・ウィテカー、主演女優賞に『クィーン』でエリザベス女王を熱演したヘレン・ミレンが選ばれました。助演男優賞は『ブラッド・ダイヤモンド』のジャイモン・フンスー、助演女優賞は『For Your Consideration』のキャサリン・オハラが受賞しました。

アンサンブル演技賞は『ディパーテッド』が受賞し、監督賞は同作のマーティン・スコセッシが受賞しました。ブレイクスルー男優賞は『ハーフネルソン』のライアン・ゴズリング、ブレイクスルー女優賞には『ドリームガールズ』のジェニファー・ハドソンと『バベル』の菊地凛子が選ばれました。

新人監督賞は『サンキュー・スモーキング』のジェイソン・ライトマン、脚本賞は『主人公は僕だった』のザック・ヘルム、脚色賞は『The Painted Veil』のロン・ナイスワーナーが受賞しました。

アニメーション映画賞は『カーズ』が受賞し、功労賞にはイーライ・ウォラック、ビリー・ワイルダー賞（優秀な演出に対して）にはジョナサン・デミ、功労賞（制作）にはアーウィン・ウィンクラー、ウィリアム・K・エヴァーソン賞（映画史に対して）にはドナルド・クリムが選ばれました。ブルガリ賞（表現の自由に対して）は『ウォーター』と『ワールド・トレード・センター』が受賞しました。

この年のナショナル・ボード・オブ・レビュー賞は、多様なジャンルの優れた映画作品と、その制作に携わった才能あふれる人々を称える盛大なイベントとなりました。

もう一度検索