ナジカニジャ

ナジカニジャは、ハンガリーのザラ県に位置する都市で、マジャル語ではNagykanizsa、ドイツ語ではGroßkirchenまたはGroß-Kanizsa、クロアチア語ではKaniža、セルビア語ではVelika Kanjižaと表記されます。ナジ（Nagy）は「偉大な」という意味を持ち、単にカニジャと呼ばれることもあります。

地理的特徴

ナジカニジャは、バラトン湖に近い場所に位置し、5本の通商路が交差する地点として、古くから交通の要衝として栄えてきました。スロベニアからグラーツへ向かう物資はナジカニジャを経由し、アドリア海沿岸からアルプス山脈、ウィーン、ブダペストへと向かう通商路の中継地点でした。

歴史

この地の歴史は古く、1960年代には市内最古のローマ遺跡が発掘されています。中世にはハンガリー王国の重要な軍事拠点となり、ナジカニジャの要塞は、オスマン帝国の攻撃から西ヨーロッパ全土を守るためのハンガリー最南端の防衛線となっていました。カニジャという名前は、スラヴ語の「Knysa」に由来し、「公に従属するもの」という意味を持っています。歴史に初めて登場するのは1245年で、カニジャを領有したカニジャイ家がカニジャ川の小島に長方形の城を築きました。

シゲトヴァールとともに、ナジカニジャは南部ハンガリーの最重要軍事拠点でしたが、1600年にカニジャ城はオスマン帝国に占領され、サンジャクの半自治領ウィラーヤーとして支配されました。1690年にハプスブルク家軍によって奪還されると、トルコの後退とともに城は戦略的な重要性を失い、1702年には要塞は廃止されました。18世紀初頭にはドイツ人領主の支配下に入り、荒廃した町にクロアチア人やセルビア人が再植民を行い、異なる民族が混ざり合って郊外のキシュカニジャに暮らしました。

教育面では、1765年にハンガリー副王バッチャーニ伯の支援により、ピアリスト修道会によって初等・中等教育が開始されました。1895年にはナジカニジャ初のビジネススクールが大学へと発展しました。

1860年代には、ウィーン、ブダペスト、リエカを結ぶ鉄道が開通し、ナジカニジャは急速に発展し産業革命が始まりました。経済の発展に伴い銀行業も発達し、地元銀行に加えてオーストリア＝ハンガリーやイギリス＝ハンガリーの銀行も支店を開業しました。1895年には電話が開通し長距離通話が可能になり、ベッド数約70の病院も開業するなど、都市機能が充実しました。

第一次世界大戦中には、町に兵舎が建設され、上下水道設備が整備されました。しかし、戦後には国際情勢が変化し、ナジカニジャは孤立し南西の中継地点としての市場を失いました。しかし、アメリカ系企業が油田を発見したことで、石油産業の中心地として復興を遂げました。

ナジカニジャは、歴史的に交通の要衝として、そして軍事拠点として重要な役割を担ってきた都市であり、その歴史と多様な文化が、現在の都市景観と社会に色濃く残っています。近年では、石油産業を中心とした経済活動に加え、観光業にも力を入れており、歴史的な建造物や美しい自然を楽しむことができる魅力的な都市として知られています。

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