セルビア語

セルビア語の概要

セルビア語（српски језик）は、インド・ヨーロッパ語族のスラヴ語派に属し、南スラヴ語群に位置づけられる言語です。主にバルカン半島で広く話されており、特徴的な歴史と文化を持っています。特にユーゴスラビア社会主義連邦共和国の解体以前は、クロアチア語やボスニア語と同一視されることが多く、セルボクロアチア語という名称で知られていました。

言語の多様性と表記法

セルビア語には主にキリル文字とラテン文字の二つの表記法が存在し、これをダイグラフィアと呼びます。ユーゴスラビア連邦解体後の現在では、セルビアでは主にキリル文字が使用されている一方で、ラテン文字も広く使用されています。特にインターネットでは、文字化けを防ぐためにラテン文字が好まれることが多いです。公文書や学校の教科書ではキリル文字表記が一般的ですが、両者は同一の文書内で混在することはありません。

自動変換機能

セルビア語版ウィキペディアには、キリル文字とラテン文字の自動変換機能が搭載されており、話者が両方の表記を自由に利用できるようになっています。このような変換は、特にキリル文字がラテン文字の2文字に対応している場合に便利です。Unicodeの設定により、特定のキリル文字は2文字のラテン文字の組み合わせとして扱われています。

話者人口と地域

セルビア語の話者は主にセルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、また一部の国に住むセルビア人に分布しています。世界全体で約1000万人の話者がいるとされ、そのうち700万人がセルビアとモンテネグロに、150万人がボスニア・ヘルツェゴビナに、4万人がクロアチアに在住しています。また、マケドニア共和国には3万人、ルーマニアには2万人、オーストラリアには5万人の話者がいます。

公用語としての地位

セルビア語は、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボの公用語としての地位を持っています。これにより、政府の公式文書や学校教育において、セルビア語が中心的な役割を果たしています。

歴史的な背景

セルビア語の文献は中世にさかのぼり、特に1186年にはセルビア語に訳された聖書『ミロスラブ福音書』が作成され、現在では重要な文化遺産としてセルビア国立図書館に保管されています。さらに、印刷によるセルビア語の普及は1494年に始まり、この時期はグーテンベルクの印刷機発明から40年後という重要なタイミングでした。これにより、セルビア語は文書作成や教育の場でさらに普及していきました。

まとめ

このように、セルビア語は豊かな歴史を持ち、地域的にも多様な文化が反映されています。今日、セルビア語は多くの人々にとって母国語であり続け、その言語的特徴は多くの言語学者や文化研究者から注目されています。

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