ナセル・ブアニ

ナセル・ブアニ：勝利と議論を呼んだスプリンター

ナセル・ブアニ（Nacer Bouhanni, 1990年7月25日 - ）は、フランスのエピナル出身の元自転車ロードレース選手です。その攻撃的なスプリントスタイルで多くの勝利を収めましたが、危険行為による降格も少なくありませんでした。2023年に現役を引退。

プロとしてのキャリア

2010年、フランセーズ・デ・ジュー（後のFDJ・ビッグマット）とトレーニー契約を結び、翌2011年にプロ契約を果たしました。2013年には、ツアー・オブ・オマーン第6ステージとパリ～ニース第1ステージで勝利し、初のUCIワールドツアーでの勝利を記録しました。

2014年のジロ・デ・イタリアでは、第4、第7、第10ステージで勝利し、見事なハットトリックを達成。ポイント賞を獲得しました。しかし、チーム内でのアルノー・デマルとのライバル関係が激化し、自身が熱望していたツール・ド・フランスへの出場機会を得られず、移籍を決断します。移籍決定後もブエルタ・ア・エスパーニャで2勝を挙げるなど、その実力を示しました。

2015年にはコフィディスへ移籍し、クリテリウム・デュ・ドフィネで区間2勝を記録。2020年にはアルケア・サムシックへ移籍し、2023年のシーズンをもって現役を引退しました。

プレースタイルと特徴

ブアニは、シーズンオフのトレーニングにボクシングを取り入れていました。32歳からはプロボクサーの道を目指すと公言しており、モハメド・アリが亡くなった際には、勝利をボクシングのポーズで捧げたこともあります。

非常に攻撃的なスプリントを持ち味としていましたが、その危険な走行が問題視されることも少なくありませんでした。2016年のツール・ド・フランスは、喧嘩が原因の怪我で欠場しています。

主な戦績

2010年：ツール・ド・ジロンド 区間優勝（第2ステージ）
2011年：ラ・トロピカル・アミサ・ボンゴ 区間優勝（第3ステージ）
2012年：フランス選手権 優勝（個人ロードレース）、ハル〜インホーイヘム 優勝
2013年：ツアー・オブ・オマーン 区間優勝（第6ステージ）、パリ～ニース 区間優勝（第1ステージ）、ツール・デュ・ポワトゥー＝シャラント ポイント賞、ツール・ド・ヴァンデ 優勝、ツアー・オブ・北京 ポイント賞
2014年：ジロ・デ・イタリア ポイント賞（第4、7、10ステージ優勝）、ブエルタ・ア・エスパーニャ 区間優勝（第2、8ステージ）
2015年：クリテリウム・デュ・ドフィネ ポイント賞、ハル〜インホーイヘム 優勝
2016年：ツール・ド・ピカルディ 総合優勝、ポイント賞、クリテリウム・デュ・ドフィネ 区間優勝（第1ステージ）
2017年：ノケル・クルス 優勝
2018年：ブエルタ・ア・エスパーニャ 区間優勝（第6ステージ）
2020年：サウジ・ツアー ポイント賞
* 2022年：ラ・ルー・トゥランジェル 優勝

ナセル・ブアニは、そのアグレッシブな走りで観客を魅了する一方で、危険な走行が議論を呼ぶこともありました。引退後、プロボクサーへの転身を目指すという、異色の挑戦にも注目が集まっています。

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