ナッシュスタジオ

株式会社ナッシュスタジオ（英称：Nash Studio Inc.）は、大阪市北区に本社を構える音楽制作会社です。主に、企業や各種メディア、イベントなど、業務用途向けのBGMや効果音といったサウンド素材の制作および販売を手掛けています。

設立と主要事業

ナッシュスタジオは、1994年7月1日に、株式会社サウンドワークスからFreeUseMusic事業部が分社独立する形で設立されました。このFreeUseMusic事業部こそが、現在の主力事業である著作権ロイヤリティフリー音楽ライブラリ「Nash Music Library」の前身にあたります。サウンドワークスの一事業部であった1983年には既に、テレビ・ラジオといった放送分野や、広報ビデオ（当時は広報映画と呼ばれていました）など、業務用での利用に特化したカテゴリーの音楽作品を、著作権ロイヤリティフリー形式で提供する事業を開始していました。

ロイヤリティフリーのビジネスモデル

Nash Music Libraryの最大の特徴は、著作権や著作隣接権といった、関連する全ての権利をナッシュスタジオが集中管理している点にあります。これにより、利用者は煩雑な権利処理を行うことなく、定められた契約に基づき音楽を自由に利用できます。設立以来、ほぼ一貫して自社スタジオで独自に制作されたオリジナル音源のみを取り扱っており、外部への受注や請負ではなく、自社で企画・制作・販売を一貫して行うという独自のビジネスモデルを採用しています。

この「著作権ロイヤリティフリー」というビジネスモデルは、Nash Music Libraryの創業者であり、現在はナッシュスタジオの音楽制作顧問を務める梨木良成氏が、映像業界関係者との会話の中で、音楽の権利処理が制作現場で大きな負担となっている現状を知ったことから着想を得たといわれています。

事業の拡大と多角化

2000年7月には、Nash Music Libraryの楽曲をダウンロード販売するウェブサイトを開設し、オンラインでの提供を開始しました。これにより、より手軽にサウンド素材を入手できるようになりました。Nash Music Libraryの楽曲は現在、国内を中心に、テレビ番組、CM、ゲーム、イベント、オンライン動画、店舗BGMなど、非常に多岐にわたる場面で利用されており、私たちが日常的に耳にする機会も多くあります。

事業はさらに拡大し、2012年10月には、特に和風の音源をフィーチャーしたプロダクション音楽ライブラリ「Zipeast」を、主に国内外の放送局向けに提供を開始しました。また、2018年7月には、店舗オーナーやライブ配信者といった一般の利用者向けに、Nash Music Libraryの楽曲を手軽に使える月額制ストリーミングサービス「ナッシュ音楽チャンネル」の配信を開始するなど、時代のニーズに合わせてサービスを展開しています。

制作体制についても、2004年6月には鳥取県伯耆町に制作スタジオ「大山音工房」を開設しています。

沿革の概要

主要な沿革としては以下の通りです。

1994年7月1日: 株式会社サウンドワークスより分社独立し、有限会社サウンドワークスナッシュスタジオとして設立。
1999年7月1日: 組織変更により株式会社ナッシュスタジオとなる。
2000年7月: Nash Music Libraryのダウンロードサイトを開設。
2004年1月: Nash Music Libraryの作品数が10,000トラックを突破。
2004年6月: 鳥取県伯耆町に制作スタジオ「大山音工房」を開設。
2012年10月: プロダクション音楽ライブラリ「Zipeast」の供給を開始。
2014年3月: Nash Music Libraryの作品数が20,000トラックを突破。
2018年7月: 月額制BGMストリーミング「ナッシュ音楽チャンネル」の配信を開始。
2018年8月: 代表取締役社長が梨木良成氏から横山美加氏に交代。

現在の代表取締役社長は作曲家である横山美加氏が務めています。

主な事業内容

著作権ロイヤルティーフリー音楽ライブラリ「Nash Music Library：FREE USE MUSIC」の運営・販売
プロダクション音楽ライブラリ「Zipeast」の運営・販売
アンビエント音楽の制作（「大山音工房」名義など）
オリジナル音源制作
サウンドロゴ制作
* 環境音・環境音楽制作

著作権ロイヤリティフリーの音楽素材提供という先駆的なビジネスモデルを通じて、多様なサウンドニーズに応え続けている企業です。

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