ナッチャンWorld

ナッチャンWorld

ナッチャンWorldは、東日本フェリーが青森港と函館港を結ぶ青函航路で運航していた高速フェリーです。この船は、オーストラリアのインキャット社によって建造され、112メートル級の双胴型に属します。船名は、京都市の小学生がデザインしたイラストにちなんで名づけられ、独特なカラーリングで知られています。

概要

ナッチャンWorldは2008年5月に就航し、原油価格の高騰に伴う採算の悪化により同年の11月には定期運航を終了しました。その後、津軽海峡フェリーに引き継がれ、2009年から2012年にかけて夏期の繁忙期のみ運航されることとなりました。2016年には特別目的会社「高速マリン・トランスポート」が本船を保有し、防衛省との輸送使用契約が結ばれました。

船体と設備

ナッチャンWorldは、TIER4からTIER1までの複数の客室カテゴリーを有しており、エグゼクティブクラスやビジネスクラス、エコノミークラスなど、多様なニーズに応える設備が整っています。特にエグゼクティブクラスにはバーやマッサージチェアが設置されており、快適な旅のひとときを提供します。防衛省に借り上げられてからは、収納効率を重視したフラット構造のマットレスが設置され、兵士や装備の輸送に対応しました。

船歴

ナッチャンWorldは、姉妹船のナッチャンReraに続く形で建造され、青森港と函館港の間を結ぶ重要な交通機関として機能していました。船体デザインは、児童の描いたイラストを基にしており、様々なテーマの生物が描かれています。就航式が行われた2008年5月2日には、青森高速船ターミナルで多くの人々が集まり、函館港150周年を祝うイベントと同時に開催されました。

初期の運航は順調でしたが、運賃値上げや減便を余儀なくされ、最終的には日本国内のフェリー事業からの撤退が発表されました。以降、ナッチャンWorldは運休し、展示や特別クルーズに使われることとなりました。

輸送船としての利用

2011年には東北地方太平洋沖地震が発生し、自衛隊の要請に応じて緊急輸送のために臨時運航されました。また、震災後も自衛隊の訓練や物資輸送に活用され、重要な役割を果たしました。2016年には特定目的会社が本船を保有し、平時における民間運航と有事における自衛隊用に利用されることが決まりました。

観光船としての利用

防衛省での活動がない間は、地域振興を目的としたクルーズ企画やイベントも行われ、観光業への貢献が期待されています。2018年からは一般向けの運航が再開され、函館港での花火大会を利用したディナークルーズなどが開催されました。

相違点

姉妹船のナッチャンReraとの対比では、船体の外観や客室の構造に違いが見られます。ナッチャンWorldは、乗客定員が800名と増加しており、客室もより多様なニーズに応えるよう改良されています。また、荷下ろしの便利さを考慮したランプウェイの増設が行われ、より多くの岸壁での接岸が可能となっています。

結論

ナッチャンWorldは、単なるフェリーとしての役割を超え、地域振興や災害時の緊急輸送にも従事し、多様な歴史を持つ船舶です。観光需要にも対応し、今後も多くの人々に利用され続けることが期待されています。

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