ナット・アダレイ

ナット・アダレイ：ファンキー・ジャズを彩ったコルネット奏者

ナット・アダレイ（1931年11月25日 - 2000年1月2日）は、アメリカ合衆国出身のジャズ・コルネット奏者です。本名はナサニエル・アダレイ。兄は同じくジャズ・サックス奏者であるキャノンボール・アダレイ（ジュリアン・エドウィン・アダレイ）であり、兄弟揃ってジャズ界に大きな足跡を残しました。

生涯と音楽活動

フロリダ州で生まれたナットは、1954年にライオネル・ハンプトン楽団に参加し、プロとしてのキャリアをスタートさせます。1955年には兄キャノンボールと共同でバンドを結成しますが、当初は成功を収めることができませんでした。その後、キャノンボールがマイルス・デイヴィスのバンドに加入すると、ナットはJ.J.ジョンソンやウディ・ハーマンの楽団で活動しました。

1959年、キャノンボールが独立すると、ナットは再び兄のバンドに加入し、長年にわたってキャノンボールをサポートしました。この時期、ナットはバンド・リーダーとしても活動し、リバーサイド・レコードと契約。ウェス・モンゴメリー、ボビー・ティモンズ、サム・ジョーンズといった才能あるミュージシャンを率いてアルバム制作を行いました。

代表作「ワーク・ソング」

1960年に発表されたアルバム『ワーク・ソング』は、ナットの代表作として広く知られています。特に、ナット自身の作曲によるタイトル曲は、ゴスペルの要素を取り入れたファンキー・ジャズの代表的な楽曲として評価が高く、キャノンボールのバンドでも重要なレパートリーとなりました。また、同年にはキング・カーティスのアルバム『ソウル・ミーティング』にも参加するなど、その才能は多方面で発揮されました。

1963年7月には、キャノンボールのバンドの一員として初来日を果たし、日本のジャズ・ファンを魅了しました。

兄キャノンボールとの絆

ナットとキャノンボールは、音楽仲間からも兄弟仲の良さで知られていました。1975年にキャノンボールが他界すると、ナットはそのショックから一時的に音楽活動を休止してしまいます。しかし、翌年には立ち直り、アダレイ・ブラザーフッドを結成し、ロン・カーターやジョニー・グリフィンなど、様々なミュージシャンと共演するなど精力的に活動を続けました。

2000年、ナット・アダレイはフロリダ州レイクランドの自宅で亡くなりました。享年68歳。

ディスコグラフィ（代表作）

リーダー・アルバム

Work Song（1960年）
Autobiography（1964年）
Soul Zodiac（1972年）
A Little New York Midtown Music（1978年）
Mercy, Mercy, Mercy! '95（1995年）

キャノンボール・アダレイ名義

Nippon Soul（1963年）
Mercy! Mercy! Mercy!（1966年）
Country Preacher（1969年）

関連事項

ファンキー・ジャズ

ナット・アダレイは、その音楽性と人柄で多くの人々に愛されたジャズ・ミュージシャンでした。彼の音楽は、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

NPRによる紹介ページ（英語）

書籍

ジャズ批評編集部編 編『JAZZトランペット』松坂〈ジャズ批評ブックス〉、2001年。ISBN 491555709X。

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