ナナカマド

ナナカマド (Sorbus commixta)

ナナカマドは、バラ科に属する落葉の小高木または高木で、主に北海道や東北地方に自生しており、街路樹や公園樹としてもよく見かけられます。特にその美しい紅[[葉]]と赤い果実は、多くの人々に愛されています。別名としてオオナナカマド、エゾナナカマド、ヤマナンテンがあり、主にその地域で呼ばれることが多いです。また、木材は非常に硬いことから、備長炭の代用としても利用されます。

和名の由来

「ナナカマド」という名称にはいくつかの説が存在します。広く知られているのは、「七度竃でくべても燃え残る」という説です。また、「七日間竃で焼くと質の高い炭が得られる」との説や、「この材で作られた食器は七世代使えるほど強い」といった興味深い説も聞かれます。しかし、実際にはナナカマドの木材は燃えやすく、木炭は火力が強いため、これに基づいた名称である可能性もあります。

植物学者の辻井達一は、青森や秋田では他の樹木をナナカマドと呼ぶことがあるため、名称の由来に別の理由があるかもしれないと指摘しています。地元の人々による別名もあり、葉の形状から名付けられたものと考えられています。

分布と形態

ナナカマドは、南千島を含む冷温帯の山地帯や亜高山帯に自生します。北海道や東北地方では植栽もされ、特に東京以西の暑い地域では適さないために育っていません。この植物には、ナナカマド、サビナナカマド、ツシマナナカマドの3つの変種が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。

一般的に、ナナカマドは高さ3メートルから12メートルまで成長します。樹皮は暗灰褐色で、滑らかで横長の皮目があります。若い樹の皮は滑らかですが、老木になると細かく裂けることが特徴です。葉は奇数羽状複葉で、小葉が多数集まって構成され、秋には美しい紅[[葉]]を見せます。色は赤やオレンジ、さらにはほんのり黄色くもなります。

花と果実

ナナカマドの花は初夏の5月から7月にかけて咲き、白い小花が複散房に集まって開花します。果実は9月から10月に成熟し、光沢のある赤い実がなります。果実は苦みがあるものの、冬季にはその苦味が和らぎ、レンジャクなどの鳥たちの食料となります。果実酒やジャムに加工することもでき、特に北ヨーロッパでは古くから広く利用されています。

利用と文化的な意義

ナナカマドはその美しい花と果実から庭木や街路樹として人気です。また、花が比較的小さくともその穂状の白さ、果実の美しい赤さなどが魅力とされています。木材は硬く、彫刻やろくろ細工に適している反面、あまり大きく成長しないため、扱いやすいです。ただし病害虫に敏感で、寿命も短いため、いずれ植え替えが必要になります。

文化的には、ナナカマドは北欧では魔よけとして扱われたり、火除けの木として伝承されることもあります。花言葉は「慎重」で、地域によっては市町村の木として選定されることもあります。

栽培

植栽は主に1月から3月に行われ、苗を育てる場合は実生や栽培によって増やします。ナナカマドは観察が容易で、その特性を理解することからも多大な利益を得られる樹木です。

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