ナバーラ内戦

ナバーラ内戦：王国を揺るがした父子の対立と隣国の野望

ナバーラ内戦は、1451年に勃発したナバーラ王国の内乱です。王位継承を巡る父子の確執が、王国を二分する争いへと発展し、周辺国の思惑が複雑に絡み合い、最終的にナバラ王国の命運を大きく左右する事態へと発展しました。

王位継承を巡る父子の対立

事の発端は、ナバラ女王ブランカ1世とその夫であるフアン2世の間に生まれたカルロス王子の王位継承権を巡る対立でした。ブランカ1世とフアン2世の間には、カルロス、ブランカ、レオノールの3人の子がいました。ブランカ1世の死後、フアン2世は婚前契約を無視し、カルロス王子に王位を譲らず、自身が王位にとどまりました。このフアン2世の行動が、ナバラ国内の貴族たちを二分する事態を招きます。

カルロス王子を支持するベアウモンテセス派と、フアン2世を支持するアグラモンテセス派が対立し、内戦へと発展しました。フアン2世は、兄であるアラゴン王アルフォンソ5世の代理としてアラゴンを治めるため、ナバラを不在にすることが多く、カルロス王子を総督に任命することで懐柔しようとしましたが、ベアウモンテセス派はカルロス王子を担ぎ上げ、反乱を起こしました。

隣国の介入と内戦の激化

ナバラ王国内の内紛は、周辺の強国であるカスティーリャ王国とアラゴン王国の介入を招き、事態はさらに複雑化しました。カルロス王子はアイバルの戦いで敗れて拘束された後、ナポリに亡命し、伯父であるアラゴン王アルフォンソ5世に仲介を依頼しますが、アルフォンソ5世の死によって交渉は頓挫します。その後、カルロス王子はカタルーニャで支持を得ますが、再び捕らえられ、1461年に急死します。カルロス王子の死は、父フアン2世による毒殺の噂を呼び、カタルーニャで暴動を引き起こしました。

カルロス王子の死後、ブランカ王女が名目上の女王となりますが、フアン2世によって投獄され、1464年に毒殺されます。その後、レオノール王女がフアン2世の後継者となり、アラゴン王位継承権を放棄する代わりにナバラを継承することになります。フアン2世の死後、レオノールが即位しますが、わずか15日で死去。幼い孫のフランシスコ・フェボが王位を継承しますが、1483年に夭逝し、妹のカタリナが即位します。

カスティーリャによる侵攻と併合

カタリナ女王の時代になると、カスティーリャ王フェルナンド2世（後のアラゴン王フェルナンド5世）がナバラへの圧力を強めます。1512年、フェルナンド2世はナバラ王国に侵攻し、ピレネー山脈以南の地域を占領しました。ナバーラ内戦の矛盾は、イサベル1世の死後カスティーリャ摂政となっていたフェルナンド2世が、かつてベアウモンテセス派が王と認めず反乱を起こしたフアン2世と2度目の妃フアナ・エンリケスの息子であったことです。もう一つの矛盾は、アラゴン王であるフアン2世からナバーラ王国の独立を守ろうと立ち上がった人々が、フアン2世の死後にカスティーリャの同盟者となったことです。

1515年、カスティーリャはナバラ王国を併合し、ナバラはカスティーリャ王国の一部となりました。その後も、フランスの支援を受けたナバラの勢力は、ナバラ奪還を試みますが、1521年のノアインの戦いでカスティーリャ軍に敗れ、奪還は失敗に終わりました。ピレネー山脈以北のナバラ王国は、フランスの保護下で存続することになりました。

ナバーラ内戦は、ナバラ王国の命運を大きく左右した内乱であり、その後のナバラの歴史に大きな影響を与えました。

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