ナベヤ (企業)

株式会社ナベヤについて

岐阜県岐阜市に拠点を置く株式会社ナベヤは、鋳物業界において長い歴史を持つ企業です。1560年に創業された当社は、計り知れない伝統と先進技術を融合させ、鋳物や精密治具の製造に取り組んできました。歴史的な背景を持ちながら、現在も鋳物技術の革新を追求しています。

歴史の歩み

創業から近世へ

ナベヤの始まりは、織田信長の家臣・岡本太郎右衛門が永禄3年（1560年）に創業したことに遡ります。彼は、千利休との親交でも知られ、彼が築いた基盤は今に至るまで受け継がれています。享保年間の1736年頃、岡本家の跡継ぎが途絶える危機を迎えましたが、分家の岡本太右衛門が家業を引き継ぎました。この時期、岡本家は朝廷から九州御鋳物師としての免許を授与され、京都御所に灯篭を献上することで「鍋屋」の称号を得ることとなります。

近代の発展

1880年、12代岡本太右衛門は金融業に進出し、濃厚銀行を設立しました。1894年には岐阜電灯を設立するなど事業を拡大し、地域経済に寄与しました。1923年には鋳造部門を分離し、株式会社鍋屋鋳造所を設立。この後、社会動乱の中でも社名が変更され、1930年代には軍需工場としての体制を強化しました。

現代のナベヤ

1947年、株式会社鍋屋鋳造所が再独立し、現在の株式会社ナベヤとしての姿がスタートしました。1960年には防衛庁の工具銘柄指定工場に認定され、その後もアメリカ企業への納品を行うなど、国際的な展開を果たしています。

1995年に岡本知彦氏が取締役社長に就任し、近年も多くの業績を上げています。特に2017年には経済産業省により地域未来牽引企業に認定を受け、健康経営優良法人にも選ばれています。また2023年には岡本家の茶室が登録有形文化財となり、企業の歴史的価値が再評価されることになりました。

製品と技術

ナベヤは伝統的な梵鐘の製造を行っており、東京都の柴又帝釈天の梵鐘や岐阜市の龍峯寺の梵鐘など、多くの名作を生み出しています。これらの製品は、時代とともに求められる品質やデザインに応じた鋳造技術により製造され、今でも地域の文化財としての役割を果たしています。

また、現代においてはマンホールの蓋や水道管など、日常生活で利用される許可製品の生産も行っており、先端的な精密治具の製造にも力を入れています。ナベヤは、革新を重んじつつ、岡本家による伝承を大切にし、シェアの維持と拡大に努めています。

事業所と営業拠点

当社の本社は岐阜市若杉町に位置し、ここを拠点にした工場で鋳物製品や防振・除振製品が生産されています。さらに、本巣市には精密加工を行う工場もあり、広範な営業ネットワークを展開しています。仙台、東京、大阪などに営業所を構え、全国の顧客へ迅速なサービスを提供する体制を整えています。

最後に

株式会社ナベヤは、伝統的な技術を保持しつつ、時代のニーズに応いながら成長を続けています。鋳物業における老舗の誇りを胸に、今後も地域に根ざした企業活動を行い、未来に向けた挑戦を続けることでしょう。

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