ナミテントウ

ナミテントウ（Harmonia axyridis）について

ナミテントウは、コウチュウ目に属するテントウムシ科の昆虫で、和名の通り日本やアジアに広く分布しています。その姿は多様で、色や模様のバリエーションが豊富です。日本各地でよく見られるこの昆虫は、特にアブラムシを捕食することで知られており、害虫のコントロールに寄与する益虫と見なされています。しかし、その生態と行動には注意が必要です。

特徴と生態

ナミテントウは年に2回の繁殖サイクルを持つ昆虫で、成虫は冬期に集団で越冬します。気温が上昇すると、夏眠を行うこともあります。彼らは多くのアブラムシを捕食するジェネラリストであり、その幼虫期も同様にアブラムシを主に食べます。ナミテントウは様々な植物に生息しており、特にアブラムシが寄生する植物に見られます。

色合いには多くの変化があり、19個の斑紋を持つものから、紋のないものまで見られます。一般的に、2～4紋型は九州で多く見られ、19紋型は北海道や東北に分布しています。紋の少ない個体は黒地に赤またはオレンジ色の斑点を持ち、斑紋の多い個体はオレンジ色の地に黒い斑点があります。また、真っ赤な体色の個体も存在します。

天敵利用と外来種としての拡大

ナミテントウは、害虫防除のために生物農薬として利用されることが多く、飛ばない品種に関する研究や実用化が進められています。とはいえ、ナミテントウは攻撃的な性格を持ち、他のテントウムシを捕食することが問題視されています。外来種として移入された結果、特にアメリカやヨーロッパで大きく生息域を拡大し、さらには南米やアフリカ、オーストラリアを除くすべての大陸で確認されています。ベルギーでは、在来種のナナホシテントウやフタホシテントウの生態系に影響を及ぼしているという研究も報告されています。

クリサキテントウとの関係

ナミテントウに似た斑紋を持つ昆虫には、クリサキテントウ（Harmonia yedoensis）があります。長年、ナミテントウのシノニムとされていたこの種は、外見での識別が困難です。ただし、幼虫については異なる特徴を持っています。また、ナミテントウは、特に鞘翅に「ひだ」が現れる個体が見られますが、クリサキテントウではこのひだは存在しないため、ひだのある個体はナミテントウであるとされます。これらの研究は、ナミテントウの生態や分類についての理解を深化させる重要な要素となっています。

分布

ナミテントウは、シベリア、樺太、中国、朝鮮半島、日本と広範囲に分布しています。日本国内では、北海道から九州まで広く見られます。また、南西諸島には分布しないと考えられていましたが、最近の研究（2018年の文献）によると、沖縄本島と石垣島でも確認されています。

このようにナミテントウは、国内外で複雑な生態系に影響を与える存在です。今後、さらなる研究が求められます。

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