ナワーズッディーン・シッディーキー

ナワーズッディーン・シッディーキー（Nawazuddin Siddiqui）は、1974年5月19日にインドで生を受けた俳優です。

キャリア形成と歩み

インド北部に位置するウッタル・プラデーシュ州のブダーナーで生まれた彼は、学業修了後に演劇の道へ進みます。ハリドワールにあるグルクル・カーングリー大学で理学部を卒業した後、インド国内で高い評価を受けるインド国立演劇学校（NSD）で俳優としての専門的な訓練を積みました。この演劇学校での経験が、後の彼の深みのある演技の基盤となります。

映画界への第一歩は、1999年に公開された作品『Sarfarosh』でした。キャリア初期は小さな役を演じることが多かったようですが、着実に経験を積み重ねていきました。彼の名前が広く知られるようになったのは、2012年のことです。この年に公開された映画『Talaash』での卓越した演技が高く評価され、権威ある国家映画賞では審査員特別賞を受賞。さらに、第7回アジア・フィルム・アワードにおいても助演男優賞を獲得し、その実力が国内外で認められるようになりました。

多彩な出演作品

シッディーキーは、その個性的なルックスと圧倒的な演技力で、幅広い役柄を演じ分けています。代表的な出演作品には、初期の『ムンナー兄貴、医者になる』（2003年）や、大阪アジアン映画祭でも上映された『デーヴ・D』（2009年）があります。また、2012年の『血の抗争 Part1』、『血の抗争 Part2』といった作品では、その強烈な存在感を放ちました。アジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映された『女神は二度微笑む』（2012年）や、なら国際映画祭で上映された『Liar's Dice』（2013年）など、日本でも紹介された作品は多数あります。

特に国際的な注目を集めた作品としては、『めぐり逢わせのお弁当』（2013年）が挙げられます。この作品はカンヌ国際映画祭をはじめとする数々の映画祭で高い評価を受け、彼の演技も絶賛されました。その後も、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』（2015年）のような大ヒット作から、『復讐の町 Badlapur』（2015年）、『DEVIL デビル Raman Raghav 2.0』（2016年）のようなシリアスな作品まで、様々なジャンルの映画に出演し続けています。

近年では、『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜|LION_ライオン 〜25年目のただいま〜』（2016年）のようなハリウッド作品への参加や、『マントー』（2018年）、大阪アジアン映画祭で上映された『ローマをさまよう』（2019年）、『ノー・ランズ・マン』（2021年）など、意欲的な作品に出演し、俳優としての幅を広げています。

ストリーミング作品と評価

映画だけでなく、ストリーミングサービス向けの作品にも積極的に出演しています。Netflixで配信されたインド製作のオリジナルドラマシリーズ『聖なるゲーム』（2018年）では主要キャストの一人を務め、世界中の視聴者から高い評価を得ました。その他にも、『マクマフィア』（2018年）のような国際共同制作のミニシリーズや、『孤独の夜』（2020年）、『シリアスな男たち』（2020年）など、Netflix配信作品にも多数出演しており、新たなファン層を獲得しています。

ナワーズッディーン・シッディーキーは、アカデミックな訓練に裏打ちされた確かな技術と、どのような役にも chameleonのように溶け込む柔軟性を併せ持つ、インド映画界を代表する実力派俳優の一人として、その地位を確固たるものにしています。

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